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田中佐和

市町村合併を契機とした都市計画区域の再編に関する研究

中出文平・樋口秀・松川寿也

「平成の大合併」により、全国的に市町村合併が進んだ結果、複数の都市計画区域が併存する市町村が数多く発生することとなった。原則的に１自治体に１つの都市計画区域とされていることもあり、都市計画区域の再編は全国的に検討されている。しかし、都市計画区域再編には課題が多く、再編は進んでいない。特に、線引きと非線引き都市計画区域の再編が一番の課題とされており、地方都市では未だほとんどの都市が再編していない。しかし、従来の合併特例法が期限を迎え市町村合併が一段落したことから、これから都市計画区域再編への動きが本格化すると思われる。そこで本研究では、線引き都市計画区域と非線引き都市計画区域が混在する地方都市を対象として、地域の実状に合った都市計画区域指定のあり方を検討する。
最初に対象とする38市を統合の予定や区域の位置等により分類し、①都市計画区域の再編を予定しており既存の都市計画区域が接している前橋市、②再編を予定しているが区域が離れている鶴岡市、③線引きと非線引きの区域を併存させる富山市の３市を詳細調査対象都市とした。３市に対して、ヒアリングや現地調査を実施し現状を把握するとともに、それぞれの場合区域再編の際にどのような問題があるのかを明らかにした。その結果、区域を統合する事例では、非線引き都市計画区域の用途地域を区域統合後、市街化区域に指定できないとう問題が挙げられた。これは、農村集落が散在する地方都市特有の問題である。非線引き都市計画区域の用途地域は、多くの場合、合併前まで町村の役場等があり中心であった地区で、そのような地区で市街化区域が指定できないとなると拠点としての機能が失われ、住民の生活に支障をきたす可能性がある。
鶴岡市のような区域が接していない都市では、区域を統合した場合に飛び都市計画区域となることに問題がある。鶴岡市では飛び都市計画区域について特に問題と考えていないが、一体の都市として整備、開発及び保全をしていく都市計画区域が飛び地となるのは適切でない。
都市計画区域を再編しない富山市の事例では、非線引き都市計画区域の用途白地で開発が規制できないことや用途地域外へ人口が流出する等の問題点があり、非線引き都市計画区域で地区計画や特定用途制限地域等、何らかの土地利用規制が必要である。
これら調査・分析の結果を経て、本研究では都市計画区域再編の際に問題となる点を把握し、それぞれの都市の実状に合った都市計画区域のあり方を提言する。

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