加藤 航
推奨速度システムが旅行時間と燃料消費量に与える影響
指導教員:佐野可寸志
夜間の道路は主道路以外の交通量が少なく、信号に無駄に止められることが多い。特に長距離を走る輸送車両は幾度もその影響を受ける。そこで本研究では貨物部門の燃料消費量や旅行時間、CO2排出量の削減のため夜間の交通流を円滑にすることを目的とし、信号交差点で停止しない速度を運転手に伝える推奨速度システムの考案とその評価を行う。
推奨速度システムとはある信号を車両が通過し、通過速度を維持すると次の信号で赤現時で停止するものとする。この際信号で停止しないようにするため次の信号の青現示で通過するための推奨速度を前の信号の交差点を通過時に運転手に伝え、停止することなく走行させる。伝える方法はITSの路車間通信を利用しカーナビなどの車載機器に情報を送信するものとする。
まず本研究では夜間の交通改善を目的とするため、トラック等の輸送車両の多い幹線道路の国道17号線で夜間の交通量や信号現示などのデータを取るためのビデオ撮影による調査を行った。また、加速度を調査するため、研究範囲内にある高梨交差点でビデオ撮影による調査を行った。次にODの設定を行う。本研究ではParamicsに付属しているestimatorというプログラムを使用し推定ODの計算を行った。その原理はネットワークに多量の交通量を流し、入力した方向別交通量に応じて交差点で車両が振り分けられる。次に入力した流出交通量と同じになった箇所からODが決定されていく。ここまでの流れを繰り返すことで流入交通量と同じになるまでシミュレーション上で流す台数が減っていく。流入交通量が同じになった時推定ODが算出される。最後に算出されたODと現地調査によって得たデータを挙動計算モデルに入力し計算、評価を行った。効果の評価指標は旅行時間と燃料消費量とした。燃料消費量は小型車・大型車の2パターンに分けられている。各計算式の係数に違いがある。 さらに燃料消費は車両の状態により違うので加速時・停止時・定速時の3つの状態に分けて燃料消費量の計算を行った。
結果旅行時間には大きな変化は見られなかったが、燃料消費量は10%〜20%の削減ができた。これは速度が信号を青で通過できる速度に変化しても通過する際のサイクルがほぼ同じなため、大きな変化は出ないと予測できる。しかし2車線での追い越しまで計算ができなかったこと、道路勾配を考慮していないことなどが改良点としてあげられる。
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