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齋藤　明幸

乾燥収縮の内的・外的拘束と外部作用荷重を受けるコンクリートの変形と応力

下村　匠　准教授

コンクリート構造物は打設直後から，セメントペーストの水和反応による温度膨張や自己収縮，コンクリート中の水分が逸散することによる乾燥収縮といった種々の体積変化や，持続載荷によるクリープ現象などの影響を受ける．その体積変化が拘束されると，その度合いに応じてコンクリートには引張応力および引張方向の有効ひずみが徐々に導入され，その応力や有効ひずみがコンクリートの引張強度や限界ひずみに達した場合にはひび割れが発生し，構造物の耐久性や美観に悪影響を及ぼす．
収縮ひび割れ予測を行うためには，収縮が拘束されたときのコンクリートへの応力および有効ひずみの導入特性，ひび割れ発生条件を明らかにする必要がある．本研究では特に乾燥収縮に着目して，時間とともに変化する変形特性，すなわち応力－有効ひずみ関係を実験的に抽出することを目的としている．載荷対象となる供試体は，汎用的な材料モデルの開発を行うことを主目的としていることから，乾燥条件，応力，ひずみの状態が軸対称となり数値解析モデルとの比較に適した円筒供試体を採用し，供試体に生じる乾燥収縮を検知しつつ，リアルタイムで応力，有効ひずみ，ひずみを制御することで持続引張載荷試験および拘束収縮試験を行う装置を開発した．
それを用いて異なるパラメータを制御する載荷経路を設けた4つの実験シリーズを行い，コンクリート部材の引張挙動に与える影響を検討した．その後，実験値と解析値との比較を行うことにより，提案する乾燥収縮解析手法の妥当性を検証する．
実験結果から，乾燥による強度および剛性の低下，および持続載荷による剛性の低下，両者の複合による影響を乾燥収縮の導入に沿ったスパンにおいて確認した．拘束収縮下にあるコンクリート部材に対して，除荷速度を変化させて拘束を解放した場合，除荷速度が小さいほど除荷剛性が小さくなることを確認した．乾燥収縮条件下において，載荷速度を変化させて持続載荷を行った場合，載荷速度が小さいほど，ひび割れ発生応力が小さくなり，剛性も徐々に低下していく傾向を確認した．また，実験値と解析値を比較した結果，定性的にコンクリートの引張挙動を現すことができ，解析手法の妥当性が示唆された．
以上のことから，開発した持続引張載荷試験装置により，乾燥と持続引張を受けるコンクリート部材の挙動を適切に抽出することが出来たと言える．

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