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丸山達也

消雪井戸を利用した雨水の地下水涵養に関する基礎的検討

豊田浩史

近年、限られた地域に対して短時間に多量の雨を降らせる集中豪雨が多発している。集中豪雨は気象学的には明確な定義はないが、直径10kmから数10kmの範囲に時間雨量50㎜を超える場合が目安となる。集中豪雨による豪雨災害は国内で2003年から現在までの6年間では毎年発生し、その数は8回にも上る。
　県内での集中豪雨では、平成16年7月に発生した7・13水害（新潟・福島豪雨）が記憶に新しい。12日夜から新潟県中越地方や福島県会津で非常に激しい雨が降り、旧栃尾市（現長岡市）や旧下田村（現三条市）では総雨量が400㎜を越す記録的な雨量を観測した。被害にあった見附市では、近年の異常気象による局所的な豪雨の増加や市街化の進展で雨水を河川等へ排除できないため、浸水被害が頻発している。
　見附市では、雨水貯留菅の設備を行っているほか、平成19年度から新世代下水道支援制度を活用し、個人が設置する民間雨水貯留槽設置への助成を行い、雨水の流出抑制を推進している。また、見附市は豪雪地帯であることから、道路除雪の有効な手法である消雪パイプが普及しており、消雪用井戸が388本（市道・県道合計）と多数存在し、個人で有するものを含めると1,000本を越える。消雪パイプは克雪対策としては有効であるが、地下水の大量汲み上げによる地下水低下や地盤沈下などが大雪の年には影響が現れる。
　以上の状況を考慮した結果、低コストで機動的な雨水対策であり、且つ地下水涵養や地盤沈下防止などの環境対策にもつながる手法として、雨水を消雪井戸へ注入することにより、「消雪井戸を利用した雨水の地下水涵養」を提案する。
　本研究より得られた結果を以下に示す。
1) 消雪井戸の注入能力は雨水対策に十分に有効な能力を持っており、井戸・方向により大きな透水係数の違いは見られない。
2) 揚水試験（回復法）を用いた場合、他の手法より大きな透水係数を算出した。この手法を用いるには、注入井戸にもっと近い位置での地下水位を計測する必要があると思われる（今回は100m以上離れていた）。
3) 見附市の地下水の水質は見附市基準の上水道の水質基準に適応するほど良質と言えるため、注入水を入れる際水質を考慮する必要がある。
4) 今後は、影響半径が重なる複数の井戸に注入をし、地下水位の挙動を見る必要がある。
以上の結果より，水質問題・注入方法にはまだ問題は残るが，消雪井戸を利用した雨水の地下水涵養は水害・地盤沈下対策として有用である。

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