ken08409

氏名　　　　星野　智洋

論文題目　　ワイヤブラシの変形特性と摩擦特性に関する実験的研究

指導教官　　杉本　光隆

近年，都市の地下構造物はますます輻輳し，シールドトンネルの大深度化，急曲線化が進んでいる．さらに，コスト縮減の流れを受け，セグメントの薄肉化および幅広化，急速施工化等が進んでいる．これらのことから，施工時にセグメントに発生する応力は以前より増大する傾向にあり，施工中のトンネルに発生する不具合が顕在化してきている．施工時荷重として影響がもっとも大きいと考えられているテール部での作用力に分類されるワイヤブラシの変形による作用力は，シールド機動力学モデルで定式化はされているが，その摩擦係数，バネ定数については，研究例が少ないため，他の工種の経験値等を用いているのが現状である．不具合の大きな要因のテール作用力をより明確にするために実際のワイヤブラシの摩擦係数，バネ定数を得ることが重要である．そこで本研究では，鉄とワイヤブラシを用いた要素実験を実施し，ワイヤブラシと鉄の摩擦特性，ワイヤブラシの変形特性を定量的に求めることを目的として，鉄と実際のワイヤブラシを用いた要素実験を実施した．本研究では，ワイヤブラシの数（0，1個），底板水平速度（0，10，35，50ｍｍ/min），テールクリアランス（減少：75～1ｍｍ，固定：55，35，15，1ｍｍ）を実験因子とし，22ケースの実験を行った．以下に得られた結論を列記する．
(1)ワイヤブラシの変形特性
①押付力は，VH=30mm/min≒VH=50mm/min＜水平フリー＜水平固定となった．これは，ワイヤブラシと底板の間に発生する摩擦の向きに起因すると考えられる．実際の施工では，ワイヤブラシに対する底板の相対変位はテール向きとなるので，底板水平速度VH= 30，50mm/minの実験結果を用いて，テールクリアランスと押付力の関係を表す実験式を提案した．
(2)ワイヤブラシと鉄板の摩擦特性
①底板水平速度の摩擦係数への影響はない．
②ワイヤブラシと鉄の摩擦係数は0.368である
(3)シールド機動力学モデルへの適用
①シールド機動力学モデルに用いる，ワイヤブラシの変形特性，ワイヤブラシと鉄の摩擦特性を提案した．

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