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三澤　雄一朗

シールド機力学モデルによる秋田中央道路のシールド挙動シミュレーション

杉本　光隆

シールド機は東京湾横断道路の様な，軟弱な地盤における高度なトンネル技術として開発された.現在では，騒音や振動といった公害がないことから大都市において使用されはじめ，鉄道，道路，地下河川，上下水道，電力等の地下開発に用いられている.
そのシールド機の制御・操作は，エキスパートシステムやAIを利用した自動掘削システムが採用されている.それにより現場での様々なデータが得られるようになった.しかし，シールド掘削に関連する地盤物性値やシールド機に作用する外力，およびその挙動については未だ未解明な点が多い．したがって，複雑な地質構造の下における，シールド機の挙動を予測・制御することは困難である.さらに，シールド機に作用する力が力学的釣合条件を満たすためには，シールド機の挙動・掘進条件を考慮に入れた解析が必要である.
本研究では，開発したシールド機の動力学モデルを基に，実測データを用いて，シールド挙動をシミュレーションし，実測値と計算値を比較することにより，モデルの妥当性を検証することを目的とする.
解析データとして，今回は，秋田県による秋田中央道路工事のものを使用し，その中の秋田駅付近のデータ（JR東日本提供）を使用している.本工事の主な特徴として，①大断面・低土被り，②幅広い地質への対応（N値0の軟弱地盤から礫層，軟岩層などの硬質地盤まで様々な地質が出現する），③既設構造物との近接施工，などが挙げられる.
解析手順はまず，シールド機に作用する力とその挙動を既知とした状態から，逆解析により地盤物性値を求め，次に地盤物性値を既知とし，シールド挙動を求め，その解析値と実測値を比較することで，モデルを検証している.
以下に解析結果およびその考察を示す.
・シールド機軌跡では縦断線形，平面線形ともに，計算値と計画値はよく一致した．
・天端からの距離によって，地盤変位分布の傾向が異なっている。これは，様々な地質から構成されている本工事の特徴が影響していると考えられる.
・カッターフェイス法線方向地盤変位はスキンプレート法線方向地盤変位よりもかなり大きい値となった.
秋田中央道路工事では，駅ビル直下付近でのシールド通過に伴い，受け替え杭，受け替え梁により基礎杭の撤去を行っている.
今後は，カッターフェイスによる地盤の押し込みやシールド蛇行による近接基礎杭への影響を，FEM解析により適切に評価することが重要である．

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