ken08402

氏名　　　　品田　悟

管路解析モデルによる施工条件が推進力・推進管作用土圧に与える影響評価

指導教官　　杉本　光隆

推進工法における推進力は，先導体先端部の地山への貫入あるいは掘削による抵抗と，外周面が地山と接触する際の摩擦等の推進諸抵抗値の総和である．推進工法は管を地中に押込んで管路を形成するため，これらの推進諸抵抗の中で推進力に最も影響を与える要因は，管と地山との摩擦抵抗である．推進工法では，先導体による掘削径は管外径よりも大きく，これによりできる管と地山との隙間を余掘りという．地山に管を圧入するという推進工法の機構上，この余掘りが推進力へ与える影響は非常に大きいと考えられる．しかし，推進力算定の従来モデルにおける土圧の考え方は，地盤とトンネルの間に隙間が無く，静止土圧がかかるものと仮定している．そのため，摩擦抵抗と付着力に大きな影響を与えると考えられる余掘りを考慮することができない．その代わりに，土圧としては緩み土圧を用い，推進力低減係数βを土質別に与えている．
既往の研究では，シールド機動力学モデルで開発された余掘りを考慮できる全周地盤ばねモデルを用いて管路解析モデルを開発し，この解析モデルを用いて現場実測データを解析し，現場実測データと比較検討することにより，提案する推力算定モデルの妥当性を検証している．この管路解析モデルは，以下の特徴を有する．
①余掘りの影響を評価できる．
②管と地盤の間にインターフェイス要素を用いることにより，動的な周面摩擦を考慮できる．
③管路全体の釣り合いを考慮できる．
本研究では，推進管の設計条件，緩衝材の最適仕様，最適施工条件について検討することを目的として，管路解析モデルを用いて，地盤条件（地盤反力係数，側方土圧係数，土被り），推進条件（余掘り，管周面摩擦係数），構造物条件（EPS発泡倍率，推力伝達材配置），管路条件（直線部の長さ，曲線中心角，平面曲線半径），推進管条件（推進管長さ，推進管厚さ）を因子とする，推進工法に関するパラメータスタディを行い，各因子が推進力・推進管作用土圧に与える影響を評価した．その結果，管路解析モデルは，推進管周面変位分布，推進管周面地盤反力分布，推進力，推進管周面摩擦抵抗力，継手部モーメントを合理的に表現できること，各パラメータの推進管，推力伝達材への影響を確認した．

前のページに戻るには"戻るボタン"で戻ってください。