能登 兵衛
津波速報の為の津波発生判断モデルの開発
細山田得三 犬飼直之
津波発生の一番の要因は海底で起きる地震である。そのため地球上で津波の起こりやすい場所は、地震活動の盛んな地域に一致することは当然であり、実際に過去に生じた津波の80%以上が我が国の太平洋岸から千島、アリューシャン列島、アラスカ、メキシコの太平洋岸、加えて南米のペルー、チリ沖にかけての環太平洋地震帯で起こっている。我が国沿岸部も津波により、多くの被害をこうむっており、このため地震と津波の関係性については、これまで多くの学者・研究者が研究してきている。その中でも代表的な例として飯田は、海底で発生する地震により津波は必ずしも発生するわけではなく、津波の規模が地震のマグニチュードMと震央の深さD(km)に依存することを明らかにし、M < 0.017D + 6.42で示される範囲では津波が発生しないことを明らかにした。これによると地震のマグニチュードMが6.4以下では津波が発生しないことになる。
しかしながら、過去85年間の資料から、津波が発生した地震の震源深さとマグニチュードの関係をプロットすると、従来“津波発生せず”と考えられていた領域内において、多数、津波を伴った地震が発生しているのが見てとれた。また、これらを時系列に見ていくと、飯田らがこの関係性を発表した1950年代においては、おおよそ津波発生時の地震の震源深さとマグニチュードの関係性を表しているといえるが、1960年代〜2000年代にかけて、上記したように、従来“津波発生せず”と思われていた領域内において多数地震活動が記録されたことが分かった。
そこで、本研究においては、津波を伴う地震の震源深さとマグニチュードの関係性をもう一度見直すと共に、新たに、地震の震源深さとマグニチュードから津波の発生を予期することが出来る判断モデルの作成を行い、最小二乗法を用いたXのYに対する回帰直線と、過去に津波を伴った地震のうち最もマグニチュードの小さいM5.9が新しく提案する震源深さとマグニチュードの関係式からどのくらい乖離しているかを百分率で表した乖離率との考え方で新たに式:M = 0.0051D + 6.21を導き出した。この考え方を用いるとM6.21未満の地震については津波が発生しないと言える。
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