小川 直也

湖沼に流入する濁水の混合過程に関する解析

細山田 得三

夏季の温度成層が生じているダム貯水池に洪水による濁水が流入すると,濁水が中層の温度躍層に沿って貫入していく現象が起こる.このような現象を中層密度流と呼ぶ.ダム貯水池の建設に伴い,堆砂問題や濁水の長期化が問題とされてきている.中層密度流はこれまで多くの実験や理論的研究,数値解析がなされているが,PIV計測による内部流速構造の研究例がまだない.PIV計測とは微小なトレーサ粒子を混入することで気体・液体などの流体の流れ場を可視化し,画像処理・画像解析技術を加え,定量的な流れ場の瞬時・多点の速度情報を得る方法である.
本研究では中層密度流の室内実験においてPIVによる流速計測を行った.これにより,従来,理論的研究や数値解析によってしか研究し得なかった流れ場の流速ベクトルが測定でき,中層密度流現象のメカニズムの解明を行なうことができた.また,数値計算を実施し,画像解析による結果との比較検討を行った.本研究より,乱流特性量であるレイノルズ応力の分布が速度勾配に依存することが認められた.また,乱流のエネルギーに相当する流速変動の2乗平均値の分布についても妥当な計測結果が得られた.また,数値計算と計測結果はよい一致を示した.

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