山口勇気

液状化による住宅基礎の不同沈下に関する振動台模型実験

大塚悟,磯部公一

中越,中越沖地震では砂丘と砂丘間低地(砂丘後背地)および三角州などとの地層境界での被害が拡大した.
本研究では,地層境界付近での液状化による戸建て住宅の不同沈下のメカニズムを明らかにし,戸建て住宅に適した
液状化対策工を検討,提案することを目的とする.また,新潟県内を流れる信濃川は現在より川幅が広く,幾度となく
氾濫を繰返しており,治水のために幾度となく埋め立て工事が行われてきているため,中越沖地震で見られた柏崎市松波2丁目,
山本団地,刈羽村での宅地地盤の大規模な液状化による戸建て住宅の不同沈下は,今後発生が心配される長岡平野西縁断層帯
を震央とした地震で大規模に発生する可能性が高く,本研究の社会的意義は非常に高く,特に中越地域での役割は大きい.
刈羽村より採取された砂を用いて,実験土槽に相対密度100%の非液状化地盤を水中落下法により作製した.
そして相対密度30%,含水比10%の液状化地盤を締固め法により作成した.実モデルの1/40を想定し,模型地盤,家屋模型を作製.
8Hz 32波の正弦波,中越沖地震相当の600galを加振 した.
その結果,水位の高いゆるい砂地盤を加振することによって地盤のせん断抵抗力が低下し,地盤が液状化する.
液状化した地盤上の家屋模型は減衰する.相対密度Dr = 100 %の地盤の上の模型は液状化による沈下現象は発生しないが,
応答加速度の増幅が著しい.このような場合には宅地地盤の変状よりも家屋自体の強度を上げることが必要となる.
家屋模型の上載圧がかかっている地盤中では,加振中に間隙水圧が一瞬低下する傾向がある.
家屋模型と傾斜している非液状化層の相対的距離が不同沈下に影響をあたえている.
家屋模型と非液状化層が平行になっていれば家屋模型は相対的に不同沈下する.
家屋模型に偏心荷重がかかっている際,家屋模型の傾斜する方向に偏心荷重が影響する.等の知見が得られた.

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