ken08203

氏名：万所求

論文題目：火山灰質粘性土を含んだ粉砕泥岩材料の力学特性

指導教員名：大塚　悟

　近年，山岳地域におけるトンネル工事や道路工事等の増加に伴い，泥岩等の脆弱な材料が大量に発生し，その残土処理が問題となっている．残土を活用する1つの方法として，泥岩を用いた高盛土の施工事例が増えているが，固結力が小さい泥岩を盛土材料として利用する場合は締固める際の粒子破砕や水浸，スレーキング等による強度低下，沈下の影響が問題となる．また，脆弱岩は掘削時には硬く塊状で産出し，盛土材としてこれを使用した場合には，空隙が多くなりやすく，長期間にわたる地下水位の変動により細粒化すれば，盛土の圧縮沈下を引き起こしかねない．そのため，実際の施工現場では大型振動ローラー等による破砕転圧によりできるだけ空隙の少ない盛土を造るよう配慮されている．しかし，掘削時の泥岩塊の大きさ（粉砕径）についての明瞭な基準は設けられていない．そこで，施工時に使用する泥岩の「粉砕径」に着目し，締固め特性，施工直後の強度，施工後の降雨や地下水位の上昇に伴う水浸の影響について三軸圧縮試験機を用いて調査した．使用した材料は，新潟県内の国道付近で採取した粉砕泥岩材料であり，火山灰質粘性土を含んでいる，材料の劣化やスレーキング性が激しい材料である．試験結果より，以下の知見を得た．
① 供試体作製前の「粉砕径」の違いにより，締固め特性，非水浸強度特性，水浸強度特性に異なる特性が見られる．粉砕径が小さい2 mm径では19 mm径に比べ，非水浸強度は小さいが，水浸作用に伴う強度低下率は19 mmより小さい傾向にある．
② 水浸作用による強度低下を防ぐためには，設計基準内の密度に締固めることは当然のこと，ある一定の初期荷重（水浸前の等方圧密荷重）を載荷する必要がある．これを現場の問題に置き換えると，盛土高を高くして，有効土被り圧の大きい盛土を築造することになり，脆弱岩を用いた既存の盛土設計ではこれを実践している．しかし，脆弱岩を用いた高盛土施工において度々盛土の圧縮沈下被害が報告されていることから，基本的には盛土の排水管理が重要である．
③ 乾湿繰返し作用下では，容易に細粒化する粉砕泥岩であっても，自然含水比状態では，例え大きな水圧を載荷したとしても，塊の崩壊は見られない．

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