ken08105

本臼　里史

アスファルトラバー混合物の耐久性評価に関する研究

丸山　暉彦　

　現在，我が国において，年間約１億本の廃棄タイヤが発生しているが，そのうちリサイクルされているのは全体の約88%に留まっており，残りの約12%は不法投棄や野積みなどの問題になっている．これらのリサイクルされない廃棄タイヤは自然環境や景観に悪影響を及ぼしている．そこで近年，廃棄タイヤの道路分野への有効利用および新材料として期待されているのが『アスファルトラバー（以下，AR）』である．ARとは1970年代に米国で開発されたもので，粉末状にした廃棄タイヤとアスファルトを高温において，混合，攪拌，熟成させることにより，アスファルトの粘度を向上させたものである．近年，日本においても，ARの実用化に向け，研究開発が進められている．これまでの研究実績により，密粒度およびSMA混合物において，初期強度は改質Ⅱ型とほぼ同程度の耐久性を示すことが明らかとなっている．
　また，通常の施工機械による施工も可能であり，東京都小平市市道をはじめ，県道および国道において試験施工評価も行われている．経年変化もほとんど見られず，供用性に関しても問題ないと言える．しかし，いまだ実舗装までは至っておらず，供用に関するデータが少ないのが現状である．また，欧米諸国では良好な供用性を示しているが，我が国と諸外国では使用骨材や，ゴム粉の粒径などが異なるため，日本における適合性の確認も必要である．
　そこで本研究では，実路に先立ち，AR混合物を室内において強制的に促進劣化させることで，劣化後のAR混合物を具現化し，従来の実績のあるバインダを用いた混合物と比較することにより，劣化後のAR混合物の耐久性を評価した．評価項目としては，舗装において重要な性能である，ひび割れ抵抗性，低温時におけるたわみ追従性，耐流動性を選び，新規および所定の劣化時間においての耐久性を改質Ⅱ型混合物と比較した．
　以上の検討により，耐流動性に関しては改質Ⅱ型混合物より若干劣るものの，ひび割れ抵抗性と低温時におけるたわみ追従性に関しては，新規および劣化後において，改質Ⅱ型混合物と同等の耐久性を示し，破壊に至るまでの変位はAR混合物のほうが大きい結果となった．また，弾性係数は小さいが強度は改質Ⅱ型混合物と同等であるというAR混合物の性能を把握することができた．今後は，暴露試験により劣化させた混合物との比較や，疲労試験などにより評価していくことが必要である．

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