西川 寛朗
パームス多機能工法を用いた凍結抑制効果の評価に関する研究
丸山 暉彦
パームス多機能工法は、ポーラスアスファルト舗装表面に透水性のある弾性樹脂モルタルを充填する工法で、機能の一つに物理系凍結抑制効果がある。しかし、パームス多機能工法は充填するモルタルが弾性機能を有することから、凍結抑制効果は期待できるとされているものの、実際に凍結抑制効果があるのかということと、評価方法が確立されていないのが現状である。そこで、氷膜破砕のメカニズムや、凍結抑制効果を定量的に評価する方法の確立が必要であると考えられる。
本研究では、パームス多機能工法による凍結抑制効果が実際にあるのかを確認してから、氷が割れる影響因子を特定し、検証・評価することを目的とする。なお、パームス多機能工法による凍結抑制効果を確認する際に、一般的な物理凍結抑制舗装として知られているゴム粒子入り舗装を比較対象として使用した。
パームス多機能工法では弾性体と非弾性体の複合材料が用いられ、それらが舗装表面に複雑に配列しているために、路面の力学的応答を評価することが難しいと考えられる。そこで、実舗装の弾性体と非弾性体の複雑な配置を簡略化したモデルを作成し、雪氷路面における弾性体の力学的な作用を実験的に求める検討を行った。その結果、パームス多機能工法には、ゴム粒子入り舗装と同程度以上の凍結抑制効果があると判断できた。
モデル化のパラメータとして、樹脂モルタルをすり込む充填面積と充填深さ、樹脂モルタルの柔軟性を用いて検討した結果、パームス多機能工法の凍結抑制効果に大きな影響を与えるパラメータは、充填面積と柔軟性であることが判明し、充填深さはある程度の深さがあれば、それ以上深くても影響が小さいと判断できた。
また、今回使用したモデル供試体と実舗装供試体では相関が取れていなかった。この理由として、本研究で扱った3つのパラメータ以外にも凍結抑制効果に大きな影響を与える要因があると考えられる。その1つに、穴の径が考えられることが判明した。
以上の結果より、パームス多機能工法の凍結抑制効果を大きくするには、母体ポーラスアスファルト混合物の最大粒径を大きくし、かつすり込む樹脂モルタルの柔軟性を向上させることが望ましい。
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