満田真史

地方都市中心市街地の平面駐車場の実態とマネジメントに関する研究

中出文平・松川 寿也・樋口秀

地方都市では中心市街地衰退に伴い建物の跡地等で駐車場が増加している。車社会が進展した地方都市にとって、中心市街地でも一定量の駐車場は必要であるが、過剰な増加は魅力を低下させる。しかし、駐車場の中で時間貸し駐車場のみが立地を統計上把握でき、月極や専用を含めた駐車場全体の現状は掴みにくい状況にある。既往研究では、地方都市の数都市で駐車場の多くは月極や専用駐車場であることが明らかにされているが、量的な普遍性は明らかにされておらず、対応策の検討は未だ不十分である。そこで本研究は、地方都市の中心部ならびに中心市街地の駐車場について、共通する実態を把握して駐車場問題の普遍性を明らかにすると共に、各自治体の駐車場問題への認識と従来の駐車場施策を分析し、その効果や問題点を明らかにした上で、今後の駐車場マネジメントに向けた知見を得ることを目的とする。
まず、1980年代に策定されたシェイプアップマイタウン計画認定20市を対象に中心部(1970年DID)内の平面駐車場について最新の賦存量を把握した。その結果、中心部全域に渡って駐車場は分布しており、平均で街区面積の約6%を占めていた。特に中心市街地では、約11%に平面駐車場が広がることが明らかになった。
次に、駐車場に対する意識と対応策を把握するために、20市にアンケート調査を実施すると共に、シェイプアップマイタウン計画、旧法による中心市街地活性化基本計画(中活計画)の記載内容を検討した。
その結果、駐車場増加の弊害に対して危機感を持つが、詳細な情報を把握している都市は大垣市のみであり、対応策についても1980年から一貫して時間貸し駐車場に関する施策しか実施されていないことが明らかになった。さらに、新法による中活計画が認定された53市を対象に、その計画の内容を分析し、現時点で中心市街地活性化に積極的に取り組む都市の駐車場に対する認識と対応策を把握した。その結果、駐車場の詳細な情報を把握している都市は殆ど存在せず、対応策も多くが時間貸し駐車場に関する施策であり、駐車場全体のマネジメント策を実施している都市は金沢市のみであった。研究対象都市の中から、特徴的な駐車場施策を実施していた大垣市、長岡市、金沢市の3市を選定し、ヒアリング調査を行い、その施策を詳細に分析した結果、各都市の施策は現段階で効果は小さく、有効な駐車場マネジメントの実施には現行法令に問題があることが明らかになった。
以上の結果、今後の駐車場マネジメントに対しては、現行法令の改正や税制改正など駐車場立地に直接働きかける対応が必要であり、加えて各都市が駐車場全体について詳細な現状を把握する必要があると言える。

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