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木村有希

地方都市の沿道集積型商業施設の変遷と今後のあり方

中出文平・樋口秀・松川　寿也

改正都市計画法の施行（H19）により、延床面積１万㎡を超える大規模集客施設の郊外立地が規制されたが、ロードサイドショップ(RSS)の多くは規制の対象外となる規模である。たとえ１万㎡以下の小規模RSSであっても集積すれば、土地利用の観点から見ると、大規模集客施設と同様に都市の郊外化、スプロール化を招くという問題がある。また、RSS同士の競争激化に伴い閉店した場所の跡地利用問題、小規模RSSと住宅・工場・農地の土地利用の混在も大きな問題である。そこで本研究は、①商業統計メッシュデータから全国のRSS集積地を抽出し、地方都市、新潟県近県７県を対象にRSS集積地全体の知見を得て、②特に開発圧力が高く、小規模RSSが集積する場所（山形市、松本市、寒河江市、新庄市）を対象に、土地利用規制、開発動向に着目し、土地利用の変遷を追うことで、RSS集積地の今後のあり方を提言することを目的とする。
全国にRSS集積地は1020メッシュ存在し、新潟県近県７県では136メッシュ存在した。RSS集積地の特徴として、全体の約７割が人口千人以上（H12）、一事業所当りの来客用駐車場台数が50台未満である。線引き都市以外では、全て人口３千人以下（H12）でRSSが集積し、千人以上２千人未満が最も大きな割合を示す（16/45）。線引き都市では、DIDが形成される人口未満の２千人以上４千人未満が最も割合が大きいことが明らかとなった（35/91）。
山形市は、対象道路沿道で市街化調整区域に立地した店舗が存在し、滲み出し開発が起きている。松本市では対象道路沿道の店舗が市街化調整区域への滲み出し開発は存在せず、農振白地への店舗開発が存在しなかった唯一の事例である。寒河江市は、I.C.周辺ではH28年まで農振除外できないため、店舗が立地していないが、農振白地での開発は発生している。また、１街区内でRSS・住宅・工場の混在した土地利用が全体的にみられた。新庄市は、道路整備によって店舗開発が発生しない唯一の事例である。R13沿道の土地の区画が歪なため、住宅が店舗に沿道へ押し出さる格好で囲まれた事例が存在した。
新規に道路整備や区画整理事業を行う際には、地区計画をかけて住・工・商の混在、市街化調整区域への滲み出し開発を防ぐことが出来るが、１街区内での住・工・商の混在は、区域区分の有無に関係なく準工業地域で発生ししている。そこに、特別用途地区を掛け、施設規模だけでなく、建物の用途も合わせて規制することで、RSS集積誘導地区、工業・流通業務誘導地区を設けて混在を防ぐことを今後のあり方の提言とする。

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