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岡崎　裕次

地方都市における市街地再開発事業の特徴と課題

中出文平・樋口秀・松川　寿也

1969年の都市再開発法制定により制度化された市街地再開発事業は、老朽化した市街地の更新による高度利用や防災性の向上が図られるなど、中心市街地の活性化にも寄与してきた。制度化から約40年を経過し、現在までに650地区以上で事業完了しているが、近年、事業の停滞や、一部に債務の清算ができない地区があるなど、厳しい状況下に置かれている。特に地方都市では、中心市街地の衰退とともに床需要が低迷し、保留床処分の難しさが増している状況であり、再開発事業が置かれている状況はより深刻である。
そこで、地方都市の再開発事業に着目し、①2004.3までに事業完了した再開発事業の特徴と課題、②再開発ビルの現況と運営状況を把握した上で、③必ずしも高容積化を追求せず、本当に必要な規模・用途の施設のみを整備する、身の丈型再開発事業などといった新たな取り組みや近年の考えを探ることで、再開発事業の効果的なあり方を検討することを目的とする。
研究では、まず資料からデータベースを作成し、地方都市と大都市での再開発事業の違いを明らかにした。次に、地方都市で行われた292地区を対象にアンケート調査を行い運営状況と今後の意向を把握した。また、再開発ビルの運営状況が順調である地区を有する自治体へヒアリング調査を実施し、再開発事業地区の実態と自治体の意向等を把握し、再開発事業を成功させるノウハウ等を明らかにした。
その結果、地方都市と大都市では、工事完了・都市計画決定地区数の推移、規模、主要タイプの異なる傾向が明らかとなった。そして、地方都市の事業完了地区では、約3分の1で何かしらの問題を抱えており、工事完了時期が古いものほど、自治体の人口規模が小さくなるほど問題を抱えている地区の割合が大きくなることが明らかとなった。また、今後の意向としては、全体で約4割、特に人口5万人未満の都市では約8割が今後再開発事業を行なう方針ではないことがわかった。
ヒアリング調査からは、人口規模が小さい伊那市、飯田市では、財政的な状況から今後再開発事業を実施することは難しいと考えており、逆に人口規模が大きい長野市、新潟市では、今後も再開発事業を実施する方針である。そして、店舗部分の床について処分、運営していくことは人口規模によらず現状では困難な状況であることが明らかとなった。また、保留床の処分先を早期に決定すること、保留床所得者にとって自分達のニーズにあった取得が可能となる参加組合員制度等の活用や、まちづくり会社が事業に関わる手法が有効であることがわかった。

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