松原 克浩

暫定2車線高速道路における車両挙動の分析

佐野 可寸志・松本 昌二・土屋 哲

暫定2車線高速道路では前方を走行する車両が自分の希望する速度(以下、自由速度)より遅い車両だとすると、その低速車両の後方を追従走行しなければならない。その結果、追従走行車両の運転手は自由速度で走行出来ず、旅行時間の損失などの問題が生じる。このような道路区間の改善策として効率的な付加車線の設置が必要だと考えられる。暫定2車線高速道路では、交通安全対策として追越し禁止措置が適用されており、追越し禁止措置を前提とした交通運用方法として、一定の追越し機会を与える付加車線の設置は有効な方策である。
本研究の目的は第一に、自由速度に影響を与える要因、自由走行時の挙動、追従・追越し走行時の挙動を分析し、付加車線区間での車両挙動の実態を明らかにする。第二に、都市交通研究室で開発されたシミュレーションモデルの実測値への適用性をみる。第三に、このシミュレーションモデルを用いて付加車線の設置方法について検討を行う。
磐越自動車道における交通流実態調査結果にもとづき車両挙動の分析を行った。小型車と大型車では加速能力に約2倍程度の差があり、大型車が追越しを行う際、小型車より長い距離が必要になると考えられる。車群サイズと車頭時間の関係を見てみると車群サイズが大きくなっていくことで、車頭時間が大きくなる傾向があることがわかった。車頭時間と走行速度の関係を見てみると走行速度に応じて車頭時間は大きくなることがわかった。
樋山が開発した高速道路シミュレータを用いて実測値の適用可能性を検討した。その結果、旅行時間・旅行速度ともに仮定値を用いたシミュレーション値よりも実測結果をもとに行ったシミュレーション値の方が小型車については良い結果が得られた。また、シミュレーション値と実測値の比較では旅行時間・旅行速度ともに再現性があり、シミュレータの有効性を示す結果となった。よって、実務的に有用なツールとして用いることができると考えられる。
高速道路シミュレータを用いて付加車線設置の効果分析を行った。交通需要の少ない状態では長い付加車線の設置効果は小さく、交通需要が多い状態では付加車線の延長に伴い設置効果も大きくなることが定量的にわかった。また、道路延長を10kmとした場合には付加車線を複数設置するよりも1つの付加車線区間を設置した方が良い結果が得られた。また、車線数の増減が短い区間で繰り返されることは交通条件が頻繁に変化することになり、交通安全面からも設置数は少ないことが望ましいと考えられる。

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