関 光太
コンピュータベース調査による交通行動分析
佐野 可寸志・松本 昌二・土屋 哲
新潟市では、過度な自動車依存からの転換や、高齢化社会、環境問題への対応から、公共交通の利便性の向上を図るため、将来LRT(Light Rail Transit):超低床の次世代型路面電車の導入を検討している。このような新しい交通機関は、RP調査データに基づいて予測することは困難である。SP調査は仮想の代替案に対する選好の情報を得ることが出来るため有効である。
従来の紙ベースの調査票記入式アンケート調査では、SP調査を行う場合、回答者に対して提示される交通機関の水準値が固定されるため、実際の行動データと一致せず、信頼性は低い。そこで、従来の調査票記入式アンケート調査に替わるコンピュータベースの調査票を作成し、コンピュータベース調査の有効性を確認する。得られたデータより日常の交通行動を分析する。さらに、交通機関選択の要因を明らかにすることを目的に交通機関選択モデルの構築を行う。
アンケート調査を実施した団体は20団体で合計168サンプル収集した。アンケート結果から、通勤時の代表交通手段は、自動車が最も多かった。一方で、古町や駅前といった公共交通の利用が便利な地区ではバスや鉄道といった公共交通を利用している割合が多かった。また、RPデータ、SP調査の選好意識データの順位1位の選択データから多項ロジットモデルによりパラメータを推定した。SP調査データには、クロス集計結果から明らかになった、現在の交通手段が将来の手段選択に影響することを考慮し、自動車ダミーとバスダミーをモデルに組み込んだ。RPデータの多項ロジットモデルの推計結果から公共交通は、乗車時間よりも乗車外時間の方が手段選択に影響していることが分かった。
SPデータにおける多項ロジットモデルからは運賃よりも所要時間を重視することが確認できた。また、現在の通勤手段をモデルに組み込んだが、この変数の影響が強いことから、将来の手段選択には現在の利用交通手段が強く影響していることが定量的に明らかとなった。
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