山岸 崇裕

衛星および航空写真画像を用いた農地履歴探索手法の検討

力丸 厚、高橋 一義

今日、穀物価格の高騰、諸外国における輸出規制など世界の食料事情が大きく変化し、食料の多くを海外に依存している我が国においては、国内の食料供給力を強化し、食料自給率の向上を目指していくことが課題となっている。農地を優良な状態で確保し、その有効利用が図られるようにすることが極めて重要である。
そこで優良な農地を把握するのに適しているのが衛星画像、航空写真によるリモートセンシング技術である。地球を周回する人工衛星を使って地表を観測することで、広い範囲である対象領域の環境を乱さずに、定まった時間間隔で環境をモニタリングすることができ、地上での調査と比較して、広い範囲の一定基準による定期的な環境モニタリングが可能である。また航空機から撮影される航空写真を用いることで、人工衛星が打ち上げられる以前の農地履歴を探索することが可能である。リモートセンシングデータを用いた農地変遷に関する研究は様々な見地から行われており、それらに用いられる使用データ、手法は様々である。本研究ではリモートセンシング技術である航空写真・衛星画像を用いて、優良な農地を把握するために農地履歴探索手法の検討をすることを目的とした。
本研究では新潟県長岡市の信濃川左岸を対象領域とし、農地履歴探索の手法検討を行った結果、検討した手法を用いて農地履歴を探索することができるということが分かった。各年次の農地履歴を知ることは優良な農地を把握するための1つの考え方であるため、各時期の農地画像を時系列的に並べることで農地履歴を一目でわかるようにできた。
本研究で生じた誤差は川沿いの誤差や衛星画像の幾何補正時の誤差、航空写真の目視判読時の誤差があげられる。川沿いの誤差は農地抽出の際に、天候による川幅の増加で川沿いの植生の土地被覆が変化したためである。衛星画像の幾何補正時の誤差、航空写真の目視判読時の誤差については精度を高めることが今後の課題だといえる。

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