大野直彦
 
赤外航空写真画像を用いた都市の植生領域抽出方法の改善
 
力丸厚 高橋一義
 
近年、地球温暖化などの環境問題が深刻化している。地球温暖化防止の中でも都市の緑化がある。都市の緑化は、都市のヒートアイランド現象を緩和し気温上昇を抑制できる。今後都市緑化の推進により、環境への負荷の少ない持続的発展可能な都市環境を形成していくためには、市街地面積の大半を占める建築とその敷地の緑化について技術開発とその普及を促進していくことが必要かつ不可欠である。また、環境省により実施されている自然環境保全基礎調査がある。自然環境保全基礎調査は、全国的な観点から国内の自然環境の現況及び改変状況を把握し、自然環境の保全の施策を推進するための基礎資料を整備するため、環境省が1973年(昭和48年)度より自然環境保全法第4条の規定に基づき5年ごとに調査を実施している。しかし、植生領域などを定期的に把握しなければならないことが望まれている。
本研究では、都市部であり、小さな緑地のある航空写真を用いて植生領域抽出を行う。航空写真は空間分解能が高いという利点があり、木々の形状等の情報を得るのに適しているため航空写真を使用した。
植生領域を抽出するために、目視判別、現地調査をしていては大いに時間を費やしてしまう。そこで、省力化のため航空写真の画素値データを用いて植生領域抽出を行った。
従来の都市部における植生領域抽出方法では、目視判読や植生指標NDVIにより算出した指数を閾値により判別して植生領域を抽出していた。しかし、それでは屋根などの非植生領域も植生領域として誤判別されてしまう。そこで、非植生領域が植生領域として誤判別されないように抽出方法を改善することが本研究の目的である。そして従来の方法であるNDVIでは利用していない植物の分光特性を強調することで植生領域の抽出を試みた。非植生領域が植生領域と誤判別されない指標を提案し、その指標を用いて植生領域抽出を行った。提案したG・IR、B・IR指標をNDVIと組み合わせることにより、非植生領域が植生領域として誤判別されることは少なくなった。さらに提案した都市植生指標UVI−1を用いることで、閾値を一つに定めることができ、非植生領域が植生領域として誤判別されることは少なくなった。

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