kan08103

澤田　章太

分布型融雪流出モデルを用いた長期分布型融雪流出解析による降水量補正の検討

陸　旻皎

積雪は春以降の融雪期に徐々に融け出して、河川や貯水池へ豊富な水量をゆっくりと供給するというきわめて良質で貴重な水資源である。しかし、その一方で積雪は融雪洪水や地すべり等の災害を引き起こす要因ともなるため、積雪を把握することは有効的な水利用や防災のために大変重要である。
一般的に流出計算に使用する降雨流出モデルは、入力値として雨量計で観測された降水量を使用するが、雨量計には風や地形等の影響による捕捉損失が生じるため、真の降水量の測定が困難であるという問題がある。特に雪の捕捉損失は、雨の捕捉損失が2～10％であるのに対し、10～50％と大きい。また、本研究で使用した降水量データは暫定値であり、観測機器の故障、通信異常などによる欠測や異常値を含んでいる可能性がある。そのため、モデルへの入力値として使用する場合には、降水量を補正する必要があると考えられる。
本研究では、以下に示す方法で降水量の補正を行った。
①、降水発生時の気温によって降水を降雪と降雨に判別し、降雪のみを補正。
②、降水発生時の気温によって降水を降雪と降雨に判別し、降雪と降雨を補正。
③、国土交通省の地方整備局で行われている、近隣観測点の降水量データとの相関から異常値と考えられるデータを補正する手法

以上に示す方法で降水量データの補正を行い、分布型融雪流出モデルを用いた11年間に及ぶ長期の融雪流出解析の結果から、降水量補正について検証し、正確な水収支の把握を行った。融雪流出解析による流域内への流出量と実測のダムへの流入量との水収支を合わせる形で降水量補正を行ったところ、水収支を合わせるためには、流域内で観測された降水量を年平均で40％程補正する必要があるという結果を得た。
また、長期に渡るモデルパラメータの推定を行い、最適なパラメータを選定することで、本研究の対象流域である三国川流域において、モデルの適用性と流出量の再現性を高めることが出来た。

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