臼井 裕規

各種粉体混和材を用いたコンクリートの収縮ひび割れ抵抗性

指導教員:下村 匠

フライアッシュや高炉スラグなどの混和材は資源の有効利用として用いられている.混和材の混入によってコンクリートの諸性質を改善する効果がある.しかし,収縮ひび割れが発生するなどの使用における注意が必要である.ひび割れ抵抗性は一軸拘束試験で評価できる.そしてひび割れ抵抗性を収縮特性,応力緩和特性,ひび割れ発生条件の3つの因子に分解することで,より一般的に評価することができる.
本研究では,混和材を混入することによってひび割れ抵抗性がどう変わるか確かめるために一軸拘束試験を行った.そして,もしひび割れ抵抗性が変わるのであれば,ひび割れ抵抗性の3つの構成要因である収縮特性,応力緩和特性,ひび割れ発生条件のうちどの因子が変わるのかを確かめるために実験を行った.
実験は主に拘束されたコンクリートの乾燥収縮ひび割れ試験とコンクリートの自由収縮試験を行った.本実験では配合を2つのシリーズに分けた.1つ目のシリーズとして普通コンクリートの一部をフライアッシュや高炉スラグに置き換えたものである.水結合材比を50%に統一し,フライアッシュの産地を実験のパラメータとした.2つ目のシリーズとしては混和材に高炉スラグとシリカフュームを使用し,水結合材比を下げて,高強度化を狙った配合である.
一軸拘束試験を行った結果,コンクリートに混和材を混入することによって,ひび割れ抵抗性は低下した.
ひび割れ抵抗性低下の要因を検証した結果,フライアッシュや高炉スラグを混入した配合では,普通コンクリートに比べて収縮特性はほぼ同じだった.応力緩和特性はよくなった.ひび割れ発生条件は悪くなった.高炉スラグ,シリカフュームを混入した配合では,普通コンクリートに比べて収縮特性は悪くなった.応力緩和特性はよくなった.ひび割れ発生条件はよくなった.
以上より,混和材を混入することによってひび割れ抵抗性は低下することを確認できた.そして,その原因としてフライアッシュや高炉スラグによりセメントの一部を置換した配合では,初期材齢の強度の低下がひび割れ抵抗性低下の原因となった.高炉スラグとシリカフュームを混入した高強度コンクリートでは,自己収縮による初期材齢の収縮の増大がひび割れ抵抗性低下の原因となった.

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