氏名:山本 孝幸

論文題目:塑性指数の異なる中間土の単調および繰返しせん断特性

指導教員名:大塚 悟

概要
新潟県中越地震および新潟県中越沖地震によって,新潟県は様々な地震災害を被ったが,中でも,盛土被害,斜面崩壊,液状化被害といった地盤災害が顕著に見受けられた.地盤災害は,物質要因・場の要因などが挙げられる素因と,地震・降雨や火山噴火,あるいはそれに伴う地下水・または人工的な誘因が複雑に絡み合って発生する.コスト縮減が叫ばれる現在,達成すべき要求性能を明示し、設計を行う性能設計の必要性がさらに高まっているが,中間土の取り扱いは難しく,設計を明確化し精度の高い設計を行うことは困難である.現在中間土地盤上で土木構造物を建設する場合,構造物が安全側になるよう粘土地盤として設計が行われているが,そのような設計がなされたにもかかわらず,地盤が崩壊したケースも見受けられた.これらの事実を踏まえ,本研究では地盤災害の中でも特に被害盛土の土質に着目し,地震によって多くの被害を受けたにもかかわらず,明確な取り扱い基準が確立されていない中間土を対象とし,圧密非排水三軸圧縮試験および繰返し非排水三軸試験を行い,塑性指数と単調および繰返しせん断特性との関連を把握する.
以下に,本研究より得られた知見を示す.
1)細粒分の活性度合いにより,物理的,力学的性質が異なる.
2)突固めにて作製した非塑性中間土より,予圧密にて作製した中塑性の中間土に,砂に特有のダイレイタンシーによる強度増加が強く表れる.実地盤では,突き固めにて盛土などを建設するため,本項目について今後も検討を行う必要がある.
3)細粒分の影響を強く受けた例外を除けば,中間土は塑性指数の増加に伴い最大軸差応力は減少し(単調せん断),液状化強度は増加する(繰返しせん断)傾向を示す.
4)塑性指数の低い中間土ほど繰返し載荷を受けた際の靭性が低い.また高塑性中間土においては,繰返し載荷を受けるたび,鉛直方向に供試体が伸張する.このような現象を防ぎ,また実地盤の状態を再現するためにも,初期せん断を与えた状態で繰返し非排水三軸圧縮試験を行う必要がある.
5)土質を分類する簡易なパラメータとして,塑性指数は有効である.
以上の結果は,塑性指数をパラメータにとり,一義的に物理特性およびせん断特性を評価したものである.今後,供試体作製方法,粒度分布,活性度合いなど種々の観点から中間土を分類し,中間土で構成される土構造物の崩壊機構との関連を検証する.

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