杉村 晋之介

中越・中越沖地震における宅地地盤被害の分析

大塚 悟

 今回の2007年7月16日に発生した中越沖地震は,震源に近い柏崎市及び刈羽村,出雲崎町などの海岸部に被害が集中している.また,石川県の能登沖地震と同様に,家屋の被災や倒壊が非常に多く見られる.特に砂質土地盤での液状化が多く起こっており,家屋の損壊の直接的な被害になっている.
また,2004 年10 月23 日に発生した新潟県中越地震及びその後の余震にでも,新潟県を中心として甚大な地盤被害が発生した.新潟県中越地震は,「地盤災害」と呼称されているとおり,多くの宅地に被害が見られたことが特徴である
近年,人工地盤,すなわち宅地に係る災害,特に宅地造成地での盛土の崩壊,埋立地などで見られる地盤の液状化が目立っている.地震による人工地盤災害に関する研究は,1964年に発生した新潟地震による沖積平野の液状化被害を契機にはじめられてきた.1995年の阪神・淡路大震災では,多くの人的被害の主原因が住宅・建築物の倒壊であったことから,必ずしも大きな注目を集めなかったが,阪神間の谷埋め盛土が数多く被災し,これを契機として谷埋め盛土の地震時変動の研究が本格的に始まった.
 今回の研究では,液状化地盤と大規模宅地造成地の防災上危険な箇所を広域的に判定する方法について,新潟県中越沖地震の鯖石川河口と刈羽村稲場,新潟県中越地震の高町団地の例を用いて,分析・検討を行ったものである.以下にその結果についてまとめたものを示す.
柏崎市の被害率(半壊以上)は砂丘地盤上で大きいのではないかということが推定できる.松波2丁目では,砂丘と三角州の境界があり被害を受けた地域は三角州側に位置いており被害の違いはこのような地盤環境の違いに起因していると考えられる.
橋場地区では,液状化が発生したのは主に旧河道であり,旧河道内の主に砂質土と思われる埋土が液状化したと考えられる.中越,中越沖地震の二度にわたり被害を受けた刈羽村稲葉地区において,液状化対策工法の違いによる被害状況の違いを調査し,被害状況が異なることを明らかにした.高町団地の地形解析の結果,切盛境界側で盛土厚が深く法肩に行くに従い盛土厚が減少する盛土で沈下が起こり,切盛境界側で被害が大きいのではないかということが推測できる.

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