鈴木 貴宏

伸縮分散型埋設ジョイントの基層に用いるアスファルト混合物に関する研究

高橋 修

 道路橋のジョイント部において,問題となっている車両走行時の振動や騒音を抑制する工法として,大きな伸縮変位に対応する,格子パネルを用いた伸縮分散型埋設ジョイントが運用されている.この型式の基層用アスファルト混合物には,伸縮性に優れたグースアスファルト(グース)が標準仕様として推奨されている.しかし,グースは原材料の入手が困難なことや,不十分な耐流動性による早期わだち掘れの発生という問題がある.このような理由から,グースの代替となる混合物が必要とされ,現時点においては砕石マトリクスアスファルト混合物(SMA)が有望と考えられている.我が国で使用されているSMAは,最大骨材粒径が13mmのものが主流であり,水密性と施工性の面から格子パネルへの充填には,不適切であると指摘されている.
 そこで本研究では,最大骨材粒径を5mmとしたSMA(SMA(5))をこの工法に導入するための検討を行った.しかし,最大骨材粒径を小さくすることによる,耐流動性の低下が考えられる.本研究の目的は,耐流動性を重視したSMA(5)の配合設計を行い,伸縮分散型埋設ジョイントの基層用混合物の適用性を評価することで,グースに替わる基層材料の提案を行うことである.
 検討方法としては,耐流動性に重要な骨材粒度やアスファルト量を選定し,SMA(5)の配合設計を行った.そして,設計した混合物が高い耐流動性を有し,伸縮分散型埋設ジョイントの基層に必要な性能である変形追従性や伸縮性等の特性値が要求性能を満たしているかどうか評価した.さらに,格子パネル内への混合物の詰まり具合やコスト面についても検討した.これらの物理的性状を把握して,グースの性能と比較した.
 これらの検討より,以下の知見が得られた.粗骨材間隙率や骨材間隙率を用いて骨材のかみ合わせ効果を考慮することで,耐流動性に優れた骨材粒度および最適アスファルト量を選定することができる.配合設計を行ったSMA(5)のギャップ粒度においては,高い耐流動性評価を期待できる.また,伸縮分散型埋設ジョイントの基層に必要な性能である変形追従性,伸縮性等の特性値も高いものであった.
 これらの結果をグースと比較することで,SMA(5)ギャップ粒度は埋設ジョイントの基層用混合物としての適用性が高いことを検証し,本研究で設計したSMA(5)ギャップ粒度は,グースの代替材料に適しているものと評価される.

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