ken07102

王　子鵬

廃架橋ポリエチレンを利用したアスファルト舗装材料の開発に関する研究

丸山　暉彦

架橋ポリエチレン（以下：XLPE）は絶縁性能に優れ，電線およびケーブルの被覆材として幅広く使用されている．また，有機過酸化物や電離性放射線，シラン化合物などによってポリエチレン分子鎖を架橋した材料であり，三次元網目構造をとるため，融点以上に加熱しても現状を保持する耐熱性があり，優れた電気特性と相まって非常に有用な材料である．しかし，架橋による三次元網状構造をとっているために，熱可塑化できず，また，成形性が悪く，不純物の混入が極めて少ない状態で回収できるにもかかわらず，燃料としてのサーマルリサイクルか，埋め立て処理されているのが現状である．その埋め立ての量だけでもおおよそ年間１万トンとも言われている．これまでに，XLPEのリサイクル手法として熱分解による油化やワックス化する技術，微粉化して燃料や充填材的用途に使用するリサイクル技術などが開発されてきた．また，最近では，超臨界流体を利用した技術により，架橋構造を選択的に分解して熱可塑化することで，高品位な再生品が得られるようにもなったが，設備コストや連続処理といった問題点を残して実用段階には至っていない．つまり，XLPEの有力マテリアルリサイクルが存在しないのが現状である．
本研究では，アスファルト混合物に廃XLPEを舗装材料として使用する新たなマテリアルリサイクル方法を提案した．廃XLPEを舗装材料とする二つの方法：①ウェットミックス②ドライミックスについて検討した．本研究におけるXLPEの混合方法はドライミックス方法に決定した．そこで，本研究では，廃XLPEを骨材として使用した混合物を作製し，配合設計を行った．決定した設計配合について，安定性，耐水安定性，引張特性および低温におけるたわみ性などに関する各種評価試験を実施した．また，それを一般的に使われる密粒度混合物（13）と比較し，舗装へのXLPEの適用性を検討した．
検討の結果より，XLPE入り混合物は，密粒（13）と比較して，同等以上の性能を有していることを確認した．そこで，XLPEを，舗装材料に適用することは十分可能であることが確認できた．今後は，XLPEの最大な混入量の検討および実舗装レベルでの評価を行う必要があると考えられる．

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