長山奈央

バスプローブデータを用いた一般車両区間所要時間の推定

松本昌二教授、佐野可志志准教授、土屋哲助教

本研究では、バスプローブデータを有効活用することを狙いとし、一般車両走行速度データとして、実験走行に
より得られた調査車両によるプローブデータを用いて、バスの区間所要時間と一般車両の区間所要時間との関
係を定量的に明らかにした。さらに、比較的記録ピッチの長いバスプローブカーのみの調査で、より的確に実際
の交通状況を把渥することが可能となるようなデータ分析方法を提案した。
実験走行に使用した調査車両は、乗用車や軽自動車など一般の車両にGPSを搭載したものである。実験走
行は平日の二日間、バスの本数が多い時間帯である6時50分から20時10分に行い、注意事項として対象区
間を何度もUターンし、一般車両の流れに合わせて走行することとした。このような実験走行により得た一般車
両プローブデータと、同じ日、同じ時間帯に対象区間を走行していたバスのプローブデータを、対象区間の
GPSデータのみプログラムにより抽出し、対象区間を一回通過する毎の区間所要時間を算出した。バスプロー
ブデータの記録ピッチは一分であるため、対象区間に流入・流出する時間にはズレが生じるが、これに対しては
対象とする区間に流入する直前・直後の二つのプローブデータから区間に流入した時間を比例配分により算出
して補正し、流出時間に対しても同様に補正を行うことで、より正確な区間所要速度を取得した。一般車両プロ
ーブデータの場合、記録ピッチが一秒であるため、バスプローブデータのような区間所要時間の補
正は行っていない。
区間所要時間の集計には次のような二つの分析方法を提案した。一つ目は、近似流入時間による分析であ
り、この方法は対象区間へのバスの流入時間と、最も近い時間に流入した調査車両の流入時間とを対にして、
散布図にプロットする方法である。もう一つの分析方法は、経過時間間隔による分析であり、この方法は設定し
た時間間隔(15分、20分、25分、30分)の間に対象区間に流入したバスと調査車両の区間所要時間をそれぞれ
平均したものを対にして、散布図にプロットする方法である。この二つの方法でデータを集計し、調査車両の区
間所要時間とバスの区間所要時間との散布図を描いた。近似曲線には、y=ax+bの一次式を用い、決定係数と、
パラメータaに対するt値を求めた。
結果、近似流入時間による分析よりも経過時間間隔による分析の方が決定係数は十分大きく、t値も有意な
結果が得られることがわかった。また、区間所要時間の推定が必要なのは渋滞時など区間所要時間が長い場
合であり、今回の分析によって、この必要な部分でバスと調査車両との区間所要時間に高い相関が得られた。こ
れらの結果から比較的記録ピッチの長いバスプローブデータから一般車両区間所要時間を推定することが可能
といえる。






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