笠井 孝裕

中山間地域の生活の質向上に関する基礎的研究−長岡市山古志地域を対象として−

指導教員:松本 昌二、土屋 哲

近年、中山間地域と呼ばれる我が国の地方集落では少子高齢化・人口減少が進行し、社会的サービスの提供や地域資源の管理、独居老人の孤立などさまざまな面で問題が生じている。しかしながら、現在、そのような問題を解決するために地域が自ら考え、自治体や企業と協力して社会サービスを実行する兆しが全国各地で見え始めている。
 本研究の対象地域である山古志地域には、2つの問題点があると考えられる。1つは中越地震後に運休状態にあった民間路線バスが平成19年12月に廃止となったことから、バス利用者や高齢者に移動の制約がかかるという交通の利便性の問題、もう1つは中越地震で全村避難後の帰村率が6〜7割と想定されていることから集落の対人関係が変化しうるという集落のコミュニケーションの問題である。本研究では、これらの問題を解決するために、同地域の一部の集落で実施されている行商サービスに着目し、行商サービスに対するニーズはあるか、地域のコミュニケーション不足が見られたりするのかを把握するためにアンケート調査を実施した。
 アンケート調査の結果、回答者の6割以上が行商サービスを利用したいと回答し、特に店舗がない集落からの回答や、独居老人と高齢者夫婦世帯からの回答が多かったことから高齢化が進む山古志地域の住民にとって行商サービスへのニーズはある程度の水準で期待できそうであるということがわかった。また、現状の地域のコミュニケーションに関しては、集落内ですでに孤立を感じている人がいることもわかり、本研究で取り上げた2つの問題点に共通して該当するのが高齢者(特に独居老人)であるということが、調査を通じて明らかになった。
 

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