多田 一也

地方都市中心部の駐車プライシング施策受容意識に関する研究

松本 昌二、佐野 可寸志、土屋 哲

本研究では、地方都市中心部の渋滞緩和と活性化を図るための手法として駐車マネジメントが有効な方策であるとし、その中でも経済的な手法である駐車プライシングは、自動車の利用抑制、公共交通の利用促進、土地の低未利用地化の防止などに同時に対応できるものと考えた。そこで、新潟市を対象に交通や駐車場の現状、国内外の駐車マネジメントの事例を基に駐車プライシングのシステムを構築し、その受容意識に影響を及ぼす要因と受容意識構造を明らかにした。
駐車プライシングは、中心部では専用、月極駐車場に課税することで主にピーク時の渋滞を緩和し、平面、小規模な駐車場が増加している一時預かり駐車場に課税をすることで土地利用の低未利用地化を防ぐシステムとした。また、税収を公共交通のサービス水準向上のための補助金とすることで公共交通の利用促進を図ることにした。さらに、中心部の衰退と郊外化の活性を抑制するため、郊外部への駐車プライシングの導入し、それと同時パーク&ライドを導入することで郊外からの中心部への公共交通でのアクセシビリティを高めるシステムも必要であると考えた。そして、駐車プライシングの導入に関する意識のデータを得るため、新潟市でアンケート調査を行った。
意識データの集計結果より、中心部の地区より郊外部の地区の方が公共交通の補助金が必要であるという意識、駐車税の負担を受入れるという意識、駐車プライシングの導入に賛成であるという意識が強いことがわかった。就業者は自動車の利用に依存しており駐車税の負担に抵抗していることや非就業者では公共交通を利用する人が多く駐車税を受入れ、施策も賛成しやすい傾向にあることがわかった。
さらに、駐車プライシング施策受容モデルの推定結果より、パーク&ライドの導入を受入れる意識や駐車場の適正な配置をすべきだという意識は、車から公共交通手段へ転換しようとする意識や車の利用を抑制しようとする意識を高め、公共交通への補助金を含めた施策の公正性を経て施策の受容に至るという意識構造が明らかになった。したがって、初めはパーク&ライドや駐車場の適正配置など強制力の小さい施策から必要性を示したり、導入を実施したりすることで、公共交通が重要だという意識や車利用を抑制しようとする意識を高める。その上で公共交通の補助金の重要性を示し、その財源確保と渋滞緩和の方策として駐車プライシングの導入を訴えていくことが有効であると考えた。

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