宮下 藍



嫌気的メタン酸化古細菌の検出および培養の試み



山口 隆司 准教授



大気中へのメタン放出の抑制に関わる嫌気的メタン酸化反応はanaerobic methanotroph (ANME) と呼ばれる古細菌群が硫酸/硝酸還元細菌と共生することでその反応を担っていると推定されている。しかし、これらANME古細菌群はその増殖速度の遅さや他の細菌との共生に依存した生育をするといった特徴を持つことから難培養であり分離株は存在しないためにANME古細菌の詳細な情報を得ることができていない。

そこで本研究ではANME古細菌を分離することを最終目標としたが従来の方法でのANME古細菌の培養は難しいことが予想された。そこで新規培養手法として微生物学的廃水処理技術であるdown-flow hanging sponge (DHS) リアクターシステムを用いることとした。リアクターには嫌気的メタン酸化反応がよく観察される深海堆積物を植種することとした。培養前に深海堆積物について古細菌の16S rRNA遺伝子に基づいたクローン解析を行い、全古細菌中の約25%をANME古細菌が占めていることを確認している。また、ANME古細菌が淡水環境にも存在することが最近になって報告され、その倍加速度は海洋性のANME古細菌よりも早いことが推定されていることから、本研究では淡水性のANME古細菌の培養も試みることとした。しかし、ANME古細菌が存在する陸域環境については明らかになっていないため、ANME古細菌群の16S rRNA遺伝子に特異的なプライマーセットを作成し、様々な陸域環境サンプルに適用することでそれらの環境を特定することとした。各ANME古細菌の16S rRNA遺伝子に特異的に設計したプライマー計24種類を用いて、陸域環境から採取した環境サンプルについてPCRおよびクローン解析を行った。その結果、ガス田と水田2箇所からANME古細菌に属するクローン配列を検出することに成功した。これらを植種源としたANME古細菌の培養はこれからの課題である。

深海堆積物を植種したリアクターについて、ANME古細菌の培養経過を確認するために定期的に硫酸塩濃度を測定したが培養前との変化は確認できなかった。そこでANME古細菌がリアクター内に保持されていない可能性を考え、クローン解析を行ったがANME古細菌はきちんと保持されていた。続いて、保持されている微生物が活性化されていないことを推察しFISH法および顕微鏡観察を行ったが、リアクター内ではきちんと微生物が活性化されていた。これらのことから、この先DHSリアクター内でANME古細菌が培養される可能性が示唆された�

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