酒井 真也

夜間被災地撮影チャートを用いた超低照度画像に関する検討

力丸厚 , 高橋一義

地震などの大規模な災害が発生した場合、道路の断絶等により、陸上交通手段などによる被災地へのアクセスが不能となることが十分に想定される。そのため、消防防災ヘリコプターを活用した迅速かつ確実な情報収集は極めて有用である。しかし、夜間では、コントラストや分解能の低下、SN比の低下によるノイズ増加により、消防防災ヘリコプターによって被災状況を把握することは困難となっているのが現状である。昨年の研究では、白黒の濃淡チャートを使用して、夜間における視認性の向上を行った。その結果、時間蓄積処理が最も視認性向上に有用だと分かった。また、視認性に影響を及ぼす分解能を一定にして撮影を行っていた。
それらのことを踏まえ、本研究では、被災地映像を模した夜間被災地撮影チャートを用いた超低照度画像に関して、分解能と視認性の関係、視認性向上の限界照度、蓄積効果と視認性の関係について検討した。夜間被災地撮影チャートとは、センターラインのある道路、建物の輪郭・形状、色彩を模したチャートである。本チャートを使用することにより、実際の空撮を行わなくても、概ねの特性を評価することができる。各撮影照度1、0.5、0.1、0.05、0.01lxにおいて、チャートとカメラ間の距離を4.3mに設定し、画角を固定した。そして、その画角を保持させた状態で、撮影距離を6.5m、8.6m、10.8mと変えながら、ビデオカメラ(民生)とデジタルカメラ(民生)を使用して撮影を行い、ビデオカメラ画像に対して蓄積処理を施した。次に原画像および蓄積処理画像に対して、チャートの視認性を評価するために被験者テストを行い、視認性得点を算出した。視認性得点とは、明るい状態における画像の道路、白線、構造物、円と分解能チャートの得点を足し合わせた値である。その結果、分解能を向上させると、視認性は向上することを確認した。また、蓄積処理を施しても、視認性が向上しない照度は0.01lx(ビデオカメラ)であると確認した。さらに、超低照度条件下では、蓄積処理効果が低下することを確認した。

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