氏名 村上 圭亮

タイトル  モンゴル国ヘルレン川流域における土壌特性の推定に関する研究

   指導教員 陸 旻皎

 近年,モンゴルや中国北東部を中心とするアジア北東部は、比較的狭い範囲において湿潤域から乾燥域へと変化しており、それに伴って森林-草原-砂漠というような地表面における明確な変遷域が形成されている。モンゴルのような放牧地では過放牧が問題となり、この影響は土地ごとによって異なるので、土地ごとにおける最適な立地管理手法の検討をすることが必要であり、土壌特性の把握が不可欠である。
 今までの研究や論文の中では熱伝導率の推定において、経験式(De Vries,1963)を用いているが、その中の重み係数を推定するためのデータが不足していたため、重み係数を1としていた。本研究では、近年RAISEプロジェクトによって温度データや土壌含水率データが観測されたため、それらのデータを参考にして熱伝導率を推定し、重み係数が1で適切かということを検討した。
また、日周期や年周期の温度変化がどの程度の深さまで到達するかについてのよい指標となる制動深さを推定したところ、深くまで温度変化が伝わらないことが確認された。日制動深さを用いて熱伝導率を推定して、また経験式の重み係数を1としての熱伝導率とを比較したところ、重み係数が1では、その場における熱・水環境が正しく評価できないことが確認された。そこで重み係数の推定を行い、再度、経験式によって熱伝導率を推定すると、日制動深さから推定できた熱伝導率に近似することができた。この推定した重み係数を用いると、本研究で対象としたヘルレン川流域において、どのような含水率においても熱伝導率を推定できると考えられる。

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