ドニー ユリアント

水平スタッドの終局挙動,強度解明に関する実験的研究

長井 正嗣

 近年、橋梁事業における建設コストダウン対応として複合構造の開発が行われているが,更なるコスト縮減に向けて設計法の改革が重要と考えられる.これを踏まえ連続合成桁のコンパクト断面設計と2重合成桁構造が提案され、複合構造の合成効果に役割を果たしている頭付きスタッドジベルの設計計算の再整理が不可欠になっている.
 2重合成桁橋では中間支点近傍の下床版にコンクリートと鋼を一体化するのに,水平スタッドが提案されている.水平スタッドは配置位置により鉛直スタッドと異なる水平せん断力を伝達することになるので,その終局挙動と強度に不明確なところが多い.
本研究では2重合成桁の実現に目指して,水平スタッドの終局挙動と強度の解明を行い,2重合成桁下床版設計へ新たな知見を目指す.
 本研究より得られた結果をまとめると以下のようになる.
1)水平スタッド1列と2列配置の強度特性
水平スタッドをコンクリート床版厚方向に1列配置したCase 1と,2列配置したCase 2について,スタッド1本当たりの強度を比較した結果,両Caseはほぼ等しい強度を有していることを確認できた.
2)水平スタッド1列と2列配置と水平スタッド算定式との適合
Kuhlman算定式は実験値に対して,約1.25倍となった.Kuhlmanは,設計式については算定式に対して1.25の部材係数(部分係数)を提案している.そのため,部分係数は比較的良い一致を示している.一方,Chang式は部分係数1.25を考慮すると,10%程度安全側となる.
3)作用せん断力−相対ずれ変位関係において,荷重載荷に伴い,強度の上昇,低下,上昇の現象が現れた.この理由は,供試体断面が密な補強鉄筋とスターラップで拘束されるためと考えられる.
4)Case 4,5について,以下のことが明らかになった.
下フランジに床版を打設した水平スタッド2本配置(Case 4)と水平,鉛直スタッド各1本配置(Case 5)のスタッド1本当たりの強度は,ほぼ等しい値となった.
5)Case 4とCase 5のスタッド1本当りの強度は、Case 1と2の約40%と大きな値となった.この理由としては供試体形状が異なっているためと考えられる.

前のページに戻るには"戻るボタン"で戻ってください。