Cumentas Mario Eko

アスファルト舗装における廃架橋ポリエチレンの適用性に関する研究

丸山 暉彦

 電線・ケーブルを対象に,銅回収を目的としたケーブルメーカーの回収システムが確立されている.しかし,被覆材として用いられている架橋ポリエチレンのリサイクルには大きな設備コストを要するため,そのほとんどが廃棄されているのが現状である.そこで,ケーブル被覆材に用いられる架橋ポリエチレン(PE)をチップ状に粉砕し,骨材の一部として再利用することを提案した.これにより,廃棄されているケーブル被覆材のリサイクル先を確保できると考えられる.
 PEチップは高温で溶解するため,PEチップの表面を無機粉体で特殊コーティングした,加工PEチップを使用した.これにより,内側のPEチップは溶解するものの,表面を無機粉体で特殊コーティングすることにより,溶出を低減することができ,骨材として使用することができた.
 本研究では,一般的に使われる密粒度アスファルト混合物(13)(以下:密粒(13))と架橋ポリエチレン混合物(以下:PE混合物)の物理性状を比較し,密粒(13)舗装への架橋ポリエチレンの適用性を検討した. 
 本研究では,密粒(13)の中央粒度に合わせて,骨材の合成粒度を決定した.決定した配合において,密粒(13)およびPE混合物において,安定性,耐水安定性および引張特性を評価するため各種物性試験を行った.その結果,PE混合物の混入量を増加させると,マーシャル安定度および引張強度は増加する傾向にあった.一方,残留安定度は低下する傾向にあり,混入量が20%を上回ると,基準値を下回る結果となった.
 そこで本研究における設計配合としては,締固め度が100±1%を満たすPEチップの混入量5%時の配合を採用した.そして,安定性,耐水安定性,引張特性および耐流動性に関する各種物性試験を実施した.その結果,密粒(13)と比較し,設計配合のPE混合物は,マーシャル安定度,残留安定度および引張強度は同程度であり,動的安定度は2倍以上であった.以上より,PEチップを5%混入したPE混合物は,密粒(13)と比較し,同等の安定性,耐水安定性および引張特性を有し,2倍以上の耐流動性を有するといえる.
以上の検討より,PEチップの混入量上限は20%,また,混入量が5%のPE混合物は,密粒(13)と比較し,同等以上の性能を有した.したがって,PEチップは,アスファルト舗装に適用することは十分可能であると考えられる.

前のページに戻るには"戻るボタン"で戻ってください。