庄司 岬

粒状路盤材の耐久性評価に関する研究

丸山 暉彦

建設副産物の処理・処分は建設事業を遂行するうえで重要課題となっており,その発生抑制・再生利用の促進が図られている.舗装の分野ではアスファルト魂や他産業からの再生資材を有効利用してきており,アスファルト魂は極めて高い再資源化率を実現するに至っている.特に路盤においては,すでに製鉄所で発生するスラグや,再生路盤材の使用が進められているが,今後,他産業廃棄物の路盤材への適用要請が増加すると考えられる.しかし現在,粒度調整砕石等の路盤材について,使用前にチェックすべき品質規格は存在するが,長期間の供用に耐えるか否かを判定する規格は存在せず,交通荷重に対する耐久性を評価できる試験法の開発が必要と思われる.そこで本研究では,路面温度低減舗装に使用される保水性舗装用路盤材を主な対象とし検討を行った.これは,火力発電所から排出される産業廃棄物である石炭灰を焼成した保水性を有する人工骨材である.この路盤材に対し様々な動的載荷試験を実施し,実路にて供用可能か,路盤層としての耐久性を評価・検証を行った.
本研究では,耐久性を検討する一指標として,交通荷重を受けることによる骨材の細粒化に着目した.アスファルト混合物を締め固める時に使用するマーシャルランマ・ジャイレトリーコンパクタ・ローラーコンパクタに加え,万能試験機を用いて各種動的載荷を行い,載荷後の保水性路盤材と天然砕石路盤材の細粒化の度合いを比較し,水侵による影響を評価すべく,試料の含水比を変化させたものでも試験を実施した.また,載荷による路盤材の細粒化が支持力に与える影響を確認するために,締固め後の路盤材に対しCBR試験を実施し,最後に多層弾性理論を用いた解析ソフトのひとつであるGAMESを用い,本研究で取り扱う実験に相当する5t輪荷重換算輪数を求めた.
以上の試験から得られた知見を統括すると,載荷方法によらず保水性路盤材は砕石路盤材と比較して細粒化の度合いが大きく,砕石路盤材より耐久性に劣ると言えるが,水侵時及び細粒化進行時における著しい支持力の低下は確認されず,供用に値すると考えられる.しかし,5t輪荷重換算輪数が約1,3000回で砕石路盤材の沈下量が路盤層の厚さに対して約1%なのに対し,保水性路盤材の沈下量は約5%となるため,本研究で用いた保水性路盤材単一で路盤層を構築するならば,歩道部や軽交通下での使用に適していると言える.

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