小池 貴史

地方都市中心市街地における月極駐車場の利用実態に関する研究

樋口秀・中出文平・松川寿也

地方都市では中心市街地が衰退し、低未利用地として、平面駐車場の増加が進行している。増加している駐車場の多くは月極駐車場であり、無秩序に増加・拡大している一方で、それらの実際の利用状況は明らかにされていないため、今後は計画的な整備が必要となっている。
そこで本研究では、地方都市である長岡市の中心市街地を対象に、駐車場の分布状況を把握し、その利用状況を明らかにすること、駐車場を利用している中心市街地の企業、従業者について、利用者側の利用実態および今後の意向を把握すること、及び今後の計画的な駐車場整備に対して提言することを目的とする。
 まず対象の中心市街地において、駐車場の動向と分布状況を現地調査から明らかにした。
調査の結果より、対象の駐車場475敷地を特定し、そのうち月極駐車場は263敷地を占め、台数でも約半数の3983台であった。
そして月極駐車場の管理者を特定し、管理状況と利用状況を明らかにした。その結果、月極駐車場の利用率が96.6%と非常に高いこと、駐車場の法人・個人の利用率はそれぞれ56.7%・43.3%であること、料金の高い敷地が中心市街地の中心に集中しており、それらの利用率が他に比べて高いことが明らかとなった。
 次に、利用者の立場として、中心市街地に立地する従業者30人以上の企業、及びその従業者それぞれの駐車場利用実態をみると、企業の利用する駐車場は敷地内で確保されている台数が38.5%、敷地外では61.5%であった。用途目的別にみると、来客用に確保している割合が高いことがわかった。これは百貨店やホテル業などの、中心市街地特有の業種が来客用の駐車場を多く必要としているためである。61社の企業全体の従業者のうち自家用車通勤者が27.2%、それ以外の公共交通等通勤者が69.9%だった。
自家用車通勤者の通勤時間をみると、平均24.8分で、通勤距離は平均13.2kmであった。利用する駐車場の平均料金は12,552円で、月極駐車場の全体の平均と比較して、2,500円ほど安い駐車場を利用していることが明らかとなった。
月極駐車場の利用実態から、現時点での需要は高く、今後も増加が予想されるため、早い段階での対応策が求められる。今後の計画的な駐車場整備に向けて、個別の駐車場敷地を共同化・集約化し有効利用を図り、駐車場整備を市街地全体で取り組む必要がある。

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