金子 則夫

土壌中の微量重金属の分析評価

松下 和正

 近年、EU(欧州連合)では環境保護を目的として、「WEEE」及び「RoHS」などの特定有害物質に関する規制が交付された。このようにEUでは、「WEEE」や「RoHS」などの特定有害物質に関する規制が行われているが、我々の生活環境周辺の土壌にも微量ではあるが、鉛、カドミウムなどといった重金属が存在している。有害物質が検出される可能性のある工場などの土壌のデータは測定公表されているが、我々の生活環境周辺の場所のデータはあまり知られていないというのが現状である。
 本研究では、我々の生活環境中のいくつかの場所における土壌のサンプルを採取し、生活環境周辺の土壌中の物質量を把握することを目的とした。
 土壌分析の手法として、蛍光X線分析法(XRF)やICP発光分析、ICP質量分析などがある。本研究では、はじめに簡便で多元素の分析可能な蛍光X線分析法(XRF)を用いて分析を行った。生活環境周辺の土壌を異なった6ヶ所からサンプルを採取し、錠剤を作製後、蛍光X線分析法(XRF)により、元素の定性、定量分析を行った。定量分析は、内部標準法により行った。
 蛍光X線分析法の結果として、生活環境周辺の土壌の各サンプルにおいて検出された主な元素は、Si、Al、Fe、Ca、K、Ti、Mnの7元素であった。各サンプルにおいて一番多く存在しているのはSi元素である。続いてFe、Alと多く、K、Ca、Tiがサンプルによって違った含有量を示し、7元素の中で1番少なかった元素はMnであった。本研究のサンプル結果と地球上の地表付近に存在する元素の割合を重量パーセントで示したクラーク数を基準として比較した。その結果、各サンプルにおいてFe の含有量が多く、K、Caの含有量が少ないことがわかった。
 本研究生活環境周辺の土壌中を材料学でよく用いられる蛍光X線分析法(XRF)用いることにより、土壌中の主な元素としてSi、Al、Fe、Ca、K、Ti、Mnの7元素が存在し、長岡市の土壌にはFeが多く含まれ、K、Caが少ないことが得られたたが、土壌中に含まれる微量な重金属は分析することはできなかった。次のステップとしてはICP発光分析やICP質量分析が必要であることがわかった。
 
 

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