酒巻 尭史
下水汚泥焼却灰から作製したリン肥料の小松菜栽培による安全性・肥効性の検証
小松 俊哉、姫野 修司
これまで下水汚泥焼却灰から作製した溶融スラグは建設資材等を中心に再利用が進められてきたが、安全面・コスト面などの問題から有効利用があまり進んでいないのが現状である。また、都市ごみ焼却灰に比べ、下水汚泥焼却灰中にはリン(以下、P)が豊富に含有しているが、Pは溶融工程において施設装置の腐食を引き起こすとともに、建設資材製品としての溶融スラグの強度低下の原因となり、問題となっていた。しかし現在、このPは世界規模の枯渇問題からリサイクルの促進が重要視されてきており、下水汚泥に豊富に含まれるPを有効利用することは循環型社会の形成において重要である。
そこで本研究は、下水汚泥焼却灰から作製した溶融スラグをリン肥料として有効利用することを想定し、利用者が安心して使用できるよう、肥料としての安全性および肥効性を明確にすることを目的とした。そして、実際に畑でスラグ肥料を施肥して小松菜を栽培した。そして、畑の土の土壌分析、収穫した小松菜の生育量測定や成分分析を行い、スラグ肥料の施肥により小松菜の成長が助長されるか否か、また安全性の面から、重金属が土壌にどの程度蓄積するか把握するとともに、スラグ肥料の長期利用の可能性について検討した。その結果以下のようなことが分かった。
栽培した小松菜は、その可食部に含まれる重金属含有量が食品衛生法の基準値以下であり安全であったこと、小松菜栽培時にスラグ肥料を施肥した土壌は土壌含有量基準、土壌環境基準を満たしていたこと、このことからスラグ肥料の安全性が確認できた。また、土壌への蓄積性について試算した結果Cd、Pbはほとんど土壌に蓄積しないということが分かった。T-Crについては蓄積が懸念されるが、重金属含有量の測定結果をもとに、スラグ肥料を一般土壌で何年にわたって使用し続けることができるか試算を行ったところ、土壌中のT-Cr含有量が土壌含有量基準を超えるまでに126年以上かかる、という結果を得た。以上のことから、実際の農家の露地栽培を想定しても、安全性の観点からスラグ肥料を用いることが可能である、ということが分かった�
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