講神 雅人

夜間撮影画像の視認性向上に関する検討

力丸 厚

近年、国内において兵庫県南部地震による阪神・淡路大震災や、新潟中越地震による震災などの大規模災害が発生した。それらの経験を通して災害発生直後には、被害状況を把握し、被害の軽減や二次災害の被害を防止するために、迅速かつ詳細な情報収集が望まれてきた。そして、被害状況の把握には、カメラやセンサを用いた情報収集が有効であると考えられている。しかし、夜間に災害が発生した場合、カメラによって撮影された画像は、コントラストの低下やノイズによって画像の視認性が著しく低下するため、画像による被災地状況の把握が困難になる。そのため、夜間災害における情報収集能力の向上が急務となっており、夜間においても視認性の高い画像の取得が望まれている。
以上を背景とし本研究の目的は、夜間に撮影した画像の視認性を向上することである。日没以降に民生ビデオカメラ(可視域)と熱赤外線カメラを使用して撮影を行った。撮影照度:0.57lxに撮影した画像に対して、1/3秒(10フレーム)および3秒(90フレーム)の時間蓄積、3Line×3Pixelを対象範囲とした空間畳み込み、分かれている3バンドの合計を求める処理を行った。これらの処理を単体または組み合わせることで、視認性向上を試みた。原画像および処理画像に対して、画像に映るチャートを基準にした定量的な評価と被験者テストによる視認性の評価を行った。結果として、時間的に蓄積する方法が最も効果的であることがわかった。本研究で用いた民生ビデオカメラの0.57lx未満での撮影画像の視認性向上を検討するために、撮影照度:0.04lxおよび0.01lxに撮影した画像に対して時間蓄積視認性向上を試みた。蓄積時間を3秒および30秒(900フレーム)とし処理を行った。その結果、0.04lxでの視認性の向上が確認されたが、0.01lxでは、視認性の向上が確認されなかった。よって、本研究で用いた民生ビデオカメラの視認性向上の限界照度が0.04lxであることがわかった。また熱赤外線カメラによって撮影した熱赤外線画像の視認性を検証した。可視域と熱赤外線の画像を融合させることで、可視域の捉える対象物の色の特徴と、熱画像の捉える背景や地面の熱放射の特徴の両方を表示させる事ができた。

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