吉田京平

MODIS画像による積雪分布履歴の特性抽出と比較照合

力丸厚


雪は災害を引き起こす要因であると共に,貴重な水資源であるという二面性を持っている.また,スキー場などの観光資源としても貴重な資源として認識されている.このように貴重な雪を防災管理や水資源・観光資源として有効利用するためにも,時間的・空間的に把握することが非常に重要になってくる.そこで積雪が多く分布する山岳地帯でも広域観測可能なリモートセンシング技術が有効になってくる.また,近年では,一昨年度の19年ぶりの大雪に対し一転,今年度は雪の降らない日々が続くなど,年度によっても大きく変化を見せている. そこで本研究は,MODISデータを使用することで時間的・空間的な特性を抽出しようというものである.
また,最新の積雪域を観測することが出来る手段の一つとして考えられるものとして,デジタルカメラによる観測が試みられており,本研究でも検証としてデジタルカメラを利用した地上観測画像と衛星画像との照合を検討する.
本研究では,融雪期の衛星データ・地上観測データから積雪域抽出画像を作成し,それら多時期の積雪抽出画像を重ね合わせ積雪分布履歴情報として積雪頻度画像を作成した.地上観測データによる積雪頻度画像は,Landsat-TMとの積雪頻度画像と目視による照合を行い,衛星データとの類似点などが見られた.
MODIS画像は2003年から2006年の過去4年分のデータを使用し,各年の積雪頻度画像の作成を行った.DEMと4年分の積雪頻度画像データを利用し,領域分割を行った.本研究では,県内域を10個の領域に分けた.そして,この領域と過去4年分のMODISデータを利用し,年次別での比較や,領域ごとの比較を行い領域別特性や空間別特性を抽出した.
また、検証として,ASTERデータを間に挟む形で地上観測画像との照合を行った.始めに2006年3月22日〜29日の8日間コンポジットデータと同年3月28日の撮影のASTERデータでの積雪域の合致率を算出した.このときの合致率は78.9%を得ることができた.次にASTERデータと3月22日撮影の地上観測データとの照合を行った.このときの合致率は約58%であった.
次に気象庁HPで発表されている過去の積雪深情報と,積雪分布履歴情報との比較を行い,傾向を見た.積雪深の減少パターンと積雪占有率(領域内においての雪の割合)の減少パターンには類似している点もみられた.
これらの結果,積雪分布履歴情報からの時間的,空間的特性の抽出についての可能性も示唆された.

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