大山 知紘

新潟県における年最大積雪深の統計的性質

陸 旻皎

現在、道路や建築物の耐雪設計において、最重視されているのが1冬期間の観測値の最大値である年最大積雪深である。年最大積雪深の研究において、年最大積雪深の統計的性質を説明するためにはどの確率分布モデルを用いて表わせば良いのかというのが良く議論されている。ここで問題となるのは、今まで行われてきた統計解析には数種類の手法しか用いておらず、現在さらに多くの統計解析手法が提案されているということである。そこで本研究では、新潟県の年最大積雪深の統計的性質を調べるためにこれまで検討されてきた確率分布モデルも含めて12種類の確率分布モデルと母数推定法の組み合わせを用いて統計解析を行い、プロッティング・ポジションに対して最も適合度の良いと考えられる確率分布モデルを提案する。そして、現在まで使用されている確率分布モデルと本研究で提案された確率分布モデルの統計学的性質を比較、検討をする。
本研究では、適合度の評価をSLSCを用いて表した。また、SLSCだけでなく母数推定で計算できずエラーとなった数やSLSCのばらつき具合を見るために標準偏差も見て、その結果、最も適合度の良い確率分布モデルは一般化極値分布であるという結果に至った。今回決定した一般化極値分布と今まで用いられていた岩井法(対数正規分布)を用いて年最大積雪深を求めたところ岩井法の方が一般化極値分布より年最大積雪深を多く推定していることがわかった。つまり、これまで用いられていた岩井法は年最大積雪深を実際より多く見積もっている。一般化極値分布のパラメータに関しては、標高や地域に依存することが考えられる。

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