境野敏行

ルビット舗装におけるアスファルトラバーの適用に関する研究

丸山暉彦

近年,廃タイヤの不法投棄などが問題となっており,使途不明となっている廃タイヤのリサイクル先の確保が重要となっている.この廃タイヤを利用した舗装技術に,アスファルトラバー(AR)がある.これは,タイヤを粉末状のゴム粉にし,ストレートアスファルトと混合し,熟成させたものである.また,廃タイヤを使用した他の舗装技術に,大林道路 (株)が開発したルビット舗装がある.これは,特殊な配合の混合物であり,骨材の一部にゴムチップを混入することでゴムの弾力性により凍結抑制効果を得るものである.本研究では,ルビット舗装(ルビット混合物)を再現し,バインダにARを使用したルビット混合物(以下:ARルビット混合物)の配合を決定した.そして,決定した配合において物性試験を行い,混合物性状を評価することで,ルビット舗装へのARの適用性を検討した.また,一般にゴムとアスファルトは接着性が悪いとされており,その問題点を改善するために,表面加工を施したゴムチップの適用性についても検討した.

 ルビット混合物は,明確な配合設計法が定められていない.よって,本研究では,目標空隙率を設定し,それを満たす配合を設計配合とした.また,ルビット混合物とARルビット混合物の両者において,今後,各種物性試験を行うことから,本研究では,両者の空隙率およびアスファルト量がともに近いアスファルト量を最適アスファルト量とした.

 決定した配合において,ルビット混合物,ARルビット混合物および表面加工を施したゴムチップを使用したARルビット混合物(以下:加工ありARルビット混合物)において,安定性を評価するためにマーシャル安定度試験,耐水安定性を評価するために水浸マーシャル安定度試験を行った.その結果,ARルビット混合物および加工ありARルビット混合物において,安定度はルビット混合物より低下したが,安定度の基準値は満たしており,安定性に問題はない.また,フロー値はルビット混合物より小さくなり,このことから,ルビット混合物に比べ流動しにくいことがわかる.また,残留安定度はいずれの混合物も基準値を大きく上回っており,耐水安定性に問題はない.

 本研究では,ルビット混合物およびARルビット混合物の配合を決定し,マーシャル安定度試験および水浸マーシャル安定度試験によっていずれの混合物も十分な安定性,耐水安定性を有することが確認できた.しかし,ルビット舗装へのARの適用性および表面加工を施したゴムチップの適用性を検討するには,今後,他の物性試験を行い,混合物性状を評価する必要がある.