高橋 宏昭

ポーラス舗装の機能改善に関する研究

丸山 暉彦

排水性舗装は,従来の舗装に比べ空隙率が大きいことにより,雨水を排水する機能や,交通騒音を低減する機能を有している.しかし,骨材飛散や高コストといった問題のほか,積雪寒冷地域においては舗装の空隙内部に雪氷が入り込むことで,舗装の温度が従来の舗装に比べ低く,凍結しやすいといった問題点も挙げられた.そのため,凍結抑制効果を備えた排水性舗装の開発が求められた.
本研究では,アスファルトラバー(以下,AR)をバインダとして使用し,さらに廃タイヤから得られるゴムチップを骨材の代替物として混入することで,排水性舗装に弾力性が備わった新たな凍結抑制舗装の開発を行なった.そして,ゴムチップ入りAR排水性混合物の凍結抑制効果を検証した.また,使用したゴムチップにはウレタン樹脂を塗布した後に,アスファルトと相性のよい石粉による表面加工を施しているが,その効果に関しても,既往の研究成果のみでは不十分であったため,さらなる検証を行なった.
まず表面加工の評価には,直接引張試験と静的曲げ試験,ホイールトラッキング試験,チェーンラベリング試験を取り入れ,表面加工の有無による混合物性状を比較した.その結果,表面加工ありゴムチップを使用することで,直接引張試験では強度が約2倍となり,チェーンラベリング試験結果からはすり減り量が1/2となることが確認でき,表面加工の有無による差が顕著に表れた.このことから表面加工により,ARバインダのゴムチップに対する粘結力・把握力が強くなることがわかった.よって,ゴムチップの表面加工は効果的であると言える.
凍結抑制効果の検証には,繰返し圧縮試験と氷着引張強度試験を取り入れた.繰返し圧縮試験では,ゴムチップを混入することで,載荷時の変形量と除荷時の変形量が約2倍に増大し,弾力性が備わることが確認できた.また,氷着引張強度試験に関しては,鋼球落下法を用いて,供試体表面の氷板に対して衝撃を加えた後の氷の付着力と,衝撃のない状態での氷の付着力を測定し,衝撃による付着力の低下率を求めた.そして,ゴムチップを混入していない混合物は,低下率が0〜2%であったのに対し,ゴムチップ入りAR排水性混合物は,低下率が約12%となり,氷の付着力の低下が大きいことが確認できた.よって,排水性舗装にゴムチップを混入することで,舗装に弾力性が加わり,物理系の凍結抑制効果を備えられると言える.