北村康博

柏崎市商業地域における土地・建物利用の現状と商店街の変化に関する研究

樋口秀・中出文平

近年、中心市街地の衰退は地方都市が抱える問題として顕在化している。その原因としては市街地の郊外化など外的な要因もあるが、内部の変化も重要な要素である。そこで、本研究は柏崎市を対象として商業地域全域の土地・建物利用の現状を把握した上で、商店街が内包する問題として商店街の店舗構成の変化や空き店舗の状況、土地建物権利関係と店舗構成との関係を明らかにすることを目的とする。
まず、柏崎市と人口が同規模の8〜10万人の地方都市を抽出して、人口と商業地域の範囲の関係を比較した。柏崎市の商業地域面積は特別なものではなく、全国的にも柏崎市と同じような状況にあり、商業地域としては相応しくない地域を多く含んでいる可能性が考えられる。
次に柏崎市商業地域を対象とする現地調査を行い、土地・建物利用現況を分析した。さらに、商店街に範囲を絞り、商店街内の業種構成について経年的な変化を集計すると共に、土地・建物利用現況によって明らかとなった商業地域内に存在する空き店舗について分析した。商店街内ではサービス業・金融業以外の業種で急激な店舗数の減少が見られた。また、業種の多様性が失われつつあり、特に若年層向けの業種が減少していること、空き店舗の多くは市場性がないことが明らかとなった。なお、時代に則した業種が僅かながら増加しているものの集積は見られず、魅力の増大には繋がっていないと考えられる。
また、商店街内の建物については、登記簿を入力して権利関係を把握した。その結果、商店街の中には単純な権利関係を持つ商店街が多くを占めることが明らかとなった。
最後に、以上の結果をふまえて柏崎市商店街のまちづくりに対して提言をまとめる。空き店舗の増加は景観への影響や治安の悪化を招くばかりでなく、個店間或いは各商店街との繋がりを希薄にさせている。こうした中で、商店街を魅力あるものにするためには、来街者一人一人のニーズを受け入れられるような専門性のある業種が多岐にわたって必要である。そして時代に即した話題を創出できる業種が核として必要であり、このような店舗を増やすことが必要である。
商業地域内では若年層をターゲットとする業種が少ない。このような業種を誘導するためには、商店街内の小規模な空き店舗の活用が重要である。現在は市場性のない空き店舗が多くを占めているが、各商店街或いは権利者の努力によって活用する必要があり、魅力ある柏崎市商店街の発展と再構築が望まれている。