桑原 直樹

地方都市中心市街地における土地・建物の利用実態と権利関係に関する研究

樋口秀・中出文平

三条市、上越市(高田地区)の中心商業地域全域を対象として、中心市街地の利用実態と土地・建物権利関係から、地方都市中心市街地の権利状況に関する基礎的知見を得ることを目的とする。
商業地域は、商業等の利便性を図る地域であるべきだが、現状では、用途も様々だが商業系よりも戸建住宅の割合が高く、高度利用がされているとは言い難い状況が明らかとなった。土地・建物の権利関係をみると、両市とも、単純権利が複雑権利よりも多いことが明らかとなり、複雑化は顕著でないといえる。得られた知見から中心市街地衰退の原因を考察すると、権利関係が複雑だから流動性がないのではなく、地権者の意識が様々であることに問題があるといえる。高度利用が進まない原因としては、商業地域が広すぎることが問題であり、今後は商業地域の指定を一定の規模にしぼりこみ、用途に見合った利用を促進することが必要であると考える。