樋山沙央里

追越行動を考慮した高規格2車線道路における付加車線設置に関する研究

佐野可寸志,松本昌二

厳しい財政状況の中で、高速道路はより経済的で合理的な機能の提供が必要となっている。高規格2車線道路においては、利用者が期待する高速サービスを提供できる適切な付加車線設置を効果的に実現する必要がある。しかし、その構造を決定するにあたっての
基本的な指針は取りまとめられておらず、現地での条件の範囲内で設置できる箇所に設置しているというのが実態である。本研究では北陸自動車道の能生IC周辺をケーススタディーとしてビデオ画像から車両の走行挙動を採取・分析を行い、実挙動に基づき追越行動を考慮した交通シミュレーションモデルを開発し、付加車線設置数と付加車線長の適切な組み合わせの評価を行った。
まず、車両挙動分析では、ビデオ画像より1車線区間と2車線区間の車種別の速度分布とヘットウェイの調査を行った。また、1車線区間において追従車両の速度とヘットウェイの関係について調べ、追従速度が遅い場合はヘットウェイが小さく追従速度が速い場合はヘットウェイが大きくなることがわかった。さらに、車群サイズについて分析を行い車群サイズが大きくなると走行速度が低下することを明らかにした。次に、追越行動を考慮した追従型の交通シミュレーションの開発し、北陸自動車道の交通状況を概ね再現できることを確認した。付加車線長の付加車線の設置個数の分析ではシミュレーションの対象区間を10kmとして、付加車線が1個の場合についてまず交通需要を200台〜800台を50台刻みに、大型車混入率を5%〜40%を5%刻みに、付加車線長1km〜7kmを500m刻みに変化させ変化させシミュレーションを行い、遅れ時間、旅行速度、旅行時間を比較した。結果、交通需要に応じて最適な付加車線長が存在することを確認した。次に、付加車線長の個数を複数個設置し、付加車線の総延長を2000m(1000×2)、 3000m (1000×3、1500×2)、4000m(1000×4、2000×2) 、 5000m(1000×5、2500×2)のケースについて遅れ時間、旅行速度、旅行時間を比較した。結果、交通量の少ない場合では、長い付加車線を設置するよりも総延長が小さい付加車線を複数個設置するほうが遅れ時間、旅行時間、旅行速度を改善する効果が高いことが明らかとなった。