藤井 和人
アカガイ アスパラギン酸ラセマーゼ バリアントの酵素学的諸特性の解析
山田 良平、解良 芳夫、高橋 祥司
アカガイ由来アスパラギン酸ラセマーゼは、今までに精製され、特徴づけされた唯一のPLP依存性アスパラギン酸ラセマーゼであり、その活性は特定のヌクレオチドによって調節される。我々はその遺伝子のクローニングと大腸菌から発現させ、精製した組換え酵素の特徴づけに成功している。しかし、組換え酵素は特定の生化学的性質によってアカガイ由来の天然の酵素と区別されていた。このことは赤貝には本酵素のバリアントが存在することを示している。本研究おいて、我々は本酵素バリアントをコードする遺伝子を新たに単離し、発現させ、その生産物について解析を行った。
アカガイcDNAを鋳型としたPCRを行うことによって本酵素バリアント遺伝子を新たに単離した。本酵素バリアント遺伝子は以前にクローニングした本酵素と数箇所異なるアミノ酸残基を有していた。本酵素バリアントをBlue SepharoseとSephacryl S-100クロマトグラフィーによってそのE.coliの粗抽出液から精製した。精製した本酵素バリアントは9.89 U/mg proteinの比活性を有し、その性質は組換え酵素の性質と似ていた。