長谷川啓

航空機レーザ測量法による積雪深の異常値検出に関する研究

陸旻皎

近年の測量の手法として、レーザパルス機器を搭載した航空機により近赤外線照射を行い、その反射の時間差から標高を得るというものがある。その用途は様々であるが、一般的に、ある目標地域の標高データを求めると同時に、標高値から画像を作成し、地形画像データを作成することに利用されている。さらに、データの合成が可能であり、2つ以上の画像データから、新たにもう1つのデータを得ることが可能である。具体例としては、地形表層モデルデータ(DSM : digital surface model)から地形標高モデルデータ(DTM : digital terrain model)を差し引くことで、建物や樹木などの人工物や構造物のみの標高値を求める、というものがある。このような手法から、地物標高値、地表標高値を円滑に分離でき、その後の画像処理や解析に利用が広められていくことになる。近年では、災害予測を行うために航空機レーザ測量が頻繁に用いられている。例えば、地震によって地盤の緩んだ傾斜付近をレーザによって地形判別を行い、災害前の地形との変化の度合いから地滑りなどの危険地帯を把握するというものがある。さらに、レーザ計測の使用分野は地上にとどまらず、海の水深の計測にも用いられている。現在では、環境調査を初めに、防災管理、土木設計まで幅広い分野でこの技術が利用されている現在では、環境調査を初めに、防災管理、土木設計まで幅広い分野でこの技術が利用されている。航空機レーザによる測量は、精度は高くとも、条件によっては必ずしも正確に計測できない地点が存在する。そこで、航空機レーザ測量法による積雪深の計測データから、誤差のある地点を検出し、使用可能なデータの範囲領域を特定することを試みる。さらに、航空機レーザによる測量法の利点と欠点を理解し、それらの有用性と改善性について考える。      

 本研究では、積雪深測定データから、著しい誤差の特定を行い、それらのデータと現地調査から得られる地形や植生データを併用して誤差の原因を限定していく。具体的には植生の分布と地形特性の関連性を考え、誤差の発生するエリアを検討する。これらの研究から、将来に航空機レーザ計測を行うにあたっての留意点を考え、より円滑な測量が行えるようにするための事項について知る。