吉川圭史

積雪融雪モデルを用いた融雪過程と湿雪の圧縮粘性係数の検討

熊倉俊郎

これまでの研究で、北陸地域特有の湿雪の圧縮粘性係数が積雪モデルでの積雪深算定に大きく影響していることが示されている。本研究では融雪過程に雪面熱収支式を導入し、底面融雪量を推定することで積雪全層での水収支を再現し、更に積雪層内での含水流下過程を取り入れ、湿雪の圧縮粘性係数の検討を行った。その結果、一日の平均底面融雪量は1.4mmとなり、観測値と近い値となった。また、積雪層内の最大含水率を10%と仮定した湿雪の圧縮粘性係数の算定方法を改良し、モデルでの積雪深を冬季全体の観測積雪深の時間推移と同化した結果、観測値とモデルの時系列の積雪深のRMSE(二乗平均平方根誤差)は7cmとなった。その結果を積雪層密度の断面観測と比較したところ、結果がよく一致した。