田坂　雄治

ロープ状連続繊維補強材を用いたコンクリート部材の力学性状

指導教官：下村 匠

鉄筋コンクリート構造物の耐久性向上，塩害対策，耐震補強のために，鋼材に比べ引張強度，耐腐食性に優れ，かつ軽量である連続繊維をコンクリート用補強材として使用する研究が進められ，実構造物への適用も行われている。その多くは連続繊維をエポキシ樹脂で固めたFRPとしてコンクリート用補強材として使用するものであり，これまでに，連続繊維棒材，連続繊維シートが広く実用されている。
本研究で使用するロープ状連続繊維補強材(CF Rope)は，アラミド繊維を組紐状に成型加工したものであり，樹脂で固めないでコンクリート用補強材として用いることを想定している。CF Ropeは，樹脂で固めないことから，フレキシブルな状態で配筋を行うことができるので作業性に優れるという利点がある。
本研究では，CF Ropeをコンクリート用補強材として適用することを目的として，基本的な材料特性である引張特性を定量化するための試験方法を検討する。また，CF Ropeをせん断補強筋として使用した鉄筋コンクリートはりのせん断試験を行い，部材の耐荷性状およびCF Ropeのせん断補強効果について検討を行った。
本研究により得られたことを以下に示す。
(1)引張試験におけるCF Ropeの定着装置は，定着用膨張材による定着方法が有効であり，定着部の繊維をFRP化することにより，精度良く引張強度を測定することができた。
(2)樹脂で複合化されていないCF Ropeをせん断補強筋として用いることで，せん断補強効果が得られることが明らかとなった。